腎臓肥大と股関節形成不全を同時に発症した我が家の犬 でも泣いてばかりもいられない

犬は子か、それとも友か。



その問いに対する答えに正解も不正解も無いのだろうけれど、私にとって、少なくとも今の時点では、犬は自分が精一杯守ってやらなければならない我が子だ。

次女が股関節形成不全であると診断された時点で、私はもう何よりも優先して飼い主である自分がどう対応すべきなのかについて考え続けていたのに、神様はそれだけでは済ませてくれず、彼女にはまた別の病名が新たに冠されることになってしまった。

股関節形成不全の診断過程でレントゲンを撮った際、腹部に何かがあると聞かされたのは約1ヶ月前のこと。もしかすると食べ物が消化されずに残っているだけかも知れないからと、2日程間隔を空けて再度撮ったレントゲン写真は次女が動いてしまったせいで画像が不明瞭であったものの、異物が写っているようには見えないと判断され、私も特にそれ以上気に留めずにいた。

ところが、股関節形成不全の件で専門医を紹介され、改めて診察を受けた時の触診で違和感があると言われた為に、今回かかりつけの病院に戻って再度エコー検査をお願いすると、2つある腎臓のうちの1つが異常に肥大していることが確認できたそうだ。

股関節形成不全という病気を患っている以上は健康体とは呼べないから、「青天の霹靂」という言葉で表現するのは適切ではないのだろうけれど(元から「青天」どころか「曇天」もいいところだ)、その腎臓は摘出する以外に選択肢は無いと言われてしまったら、当然ながら私だって驚かずにはいられなかった。

なぜ腎臓が肥大してしまったのか。かかりつけ医によると、まず初めに考えられるのは先天性の異常であるということ。ただ、避妊手術をした際にもたらされた何らかの影響で発症した可能性も、ごく僅かながら否定することはできないらしい。

こうした原因は自分を納得させる為に聞くだけ聞いてはみたものの、知ったところで何の慰めになるでもなく、電話を切った後、手からドッグフードを与えてやる私の目を覗き見る次女のつぶらな瞳を見返していると、何だかとても苦しくなって不覚にも涙が溢れた。

次女はまだたったの8ヶ月。それなのに手術が必要であると判明している病気を2つも抱えることになってしまうなんて。病に侵された誰かの代わりになってあげたいなど、生まれてこのかた思ったことも無かったはずの私も流石に今回ばかりは違う。

ただ血液検査と尿検査の結果によれば、幸いにも現時点で腎機能自体に何ら問題は見られないらしく、肥大した腎臓を摘出しても、健康管理に気を配り、普段から水分を充分に摂取できてさえいれば、もう片方の腎臓だけでも不自由無く生活できるとのお墨付きを頂くことはできた。

そうと分かった以上は私もかわいそうにと嘆くのはもうやめにして、股関節形成不全であることが分かった時と同じように、これからどのようにして一緒に健康に生きて行くのかを考えるのに集中しようと思う。今を乗り切ればまだその後も続く次女の「犬生」があるのだから。

来月には引越を予定していることもあって、術後の回復に必要となる時間も考慮に入れても引越前に手術を受けて問題が無いのかどうかを心配したのだが、数日間の入院は免れないながら引越の予定にまで影響を与える程でもないのだそうだ。

実際に手術をしてもらう予定の専門医は、昨日木曜日にこちらから連絡した際には診察中で、もらえるはずだった折り返しの電話も結局来ず、今日金曜日に改めて電話してみると何とお休み。週末からサンクスギビングデーである月曜日までの3連休後となる来週火曜日にようやく戻るらしい。

いかにもカナダらしいいい加減さに腹立たしさを禁じ得ないのが正直なところとは言え、次女を守ってやる為には、ここでも冷静さを保つのが私にできる最善の対応なのだと自分に言い聞かせることにする。彼女の闘病生活はまだ始まったばかりだ。

『カナダで腎臓摘出手術を受けた我が家の犬』につづく