カナダ(アルバータ州)でコロナワクチン3度目の接種を受けて

私はつい最近コロナワクチン3度目の接種を受けた。そう、3度目だ。

「え、どうして?」

そんな声も聞こえて来そうだ。なぜそれが許されるのかとか、単純に3度打たなければいけない理由は何なのかとか。人それぞれに思うところがあるかも知れない。

3度目の接種が必要となった理由

実は私が住むカナダ・アルバータ州では、9月1日から一部の人を対象に3度目の接種の提供が開始されている。対象となるのは具体的に、

  1. 高齢者施設の入所者
  2. 臓器移植やガン治療などにより免疫力が低下した状態にある者
  3. 海外渡航の為に必要な者

といった人々で、ちなみに私は3番目の「海外渡航の為に必要な者」に分類されるケースだ。

そのように聞いたところで、まだこんな風に聞きたくなる人もきっと居る。

「もう既に2度の接種を受けているのに、どうして海外渡航の為に3度目の接種が必要になるの?」と。

その理由は、

  1. アストラゼネカワクチンを承認していない国がある
  2. アストラゼネカワクチンを承認していても、インドで生産されたワクチンについては承認対象から除外している国がある
  3. 2回の接種で異なるワクチンを打っている場合、接種が完了したものとは見做さない国がある(3回目を打つ場合、その内の2回は同じ種類のワクチンを接種している必要がある)

ことにある。

3度目の接種へと至った背景

私は1度目の接種にはアストラゼネカを打ち2度目にファイザーを打った

1度目にアストラゼネカを接種したのは、その時点でアストラゼネカは自分が持ち得た唯一の選択肢であっただけでなく、いつ順番が回って来るのか分からないファイザーやモデルナを待つより、当時州政府も強く推奨していたように、種類を選ばず、先に接種機会が訪れたワクチンを打つことで感染の可能性を少しでも下げる方がいいと考えたからだ。

2度目はまるで状況が異なる。その後ファイザーとモデルナそれぞれのワクチンが充分な量を供給できるようになったのに反して、アストラゼネカはカナダ全土で在庫不足に陥り、いつ輸入できるのかさえ見通しが立たなくなっていた。いよいよ私も2度目の接種を受けられないのではないかと心配していたその矢先に、カナダは世界の多くの国に先駆けて2度の接種で異なるワクチンの提供をスタートさせることになり、結果私はファイザーの接種を受けたのだった(カナダ全土で400万人弱が種類の異なるワクチンの接種を受けているとのデータが発表されている)。

以上の2回のいずれにせよ、最終的にどのワクチンを接種するのかを決めたのは私自身であり、その決断を下すことによって蒙り得るリスクについても当然自分で判断した。とは言え、そこに至るまでに国や州の政策や、彼等によりもたらされた情報からの影響があったのは事実だ。

それでも私は決してそれを否定的に捉えてはいない。今回のようなパンデミックを過去に経験した人など、我々一般庶民のみならず、政界にも、医学界にだって居ない訳で、誰もが手探り状態で前に進むことしかできなかった。そのような状況下にありながら、少なくともカナダ各界は人々を納得させるだけのスピード感で対応して来たように思うし、それだけの臨機応変さに加えて責任感があってこそ、今回3度目のワクチン接種提供も実現しているのだとも思う。

実際に3度目の接種を受けてみて

1度目の接種の際は予約すら必要無く、行ったその場でワクチンを打ってもらうことができ、2度目と今回の3度目ではオンラインで予約を入れた上での接種だった(3回とも近隣のスーパーに入っている薬局で接種を受けている)。

3度目の接種を受ける人はまだ多くない為に理由を聞かれたりするのかと思っていたら、1度目にアストラゼネカを打っている事だけを確認しただけでそれ以上は何も聞かれず至ってスムーズ。あれだけワクチンが不足していたのも今となっては昔話であるかのように、双方共に何の緊張感も無く、かと言って期待感も無く、ほんの少しのやり取りを交わして終わりだ。ある意味それはとても有難い事であるとも感じる。世界にはまだワクチンが届いていない場所もあるのだから。

1度目の接種後に発熱等の副反応を経験していたこと、そして知り合いに3度目の接種を受けた人が皆無であることもあり、今回は果たして大丈夫だろうかと不安に感じる部分があったのだが、結局は注射箇所に鈍い痛みが出たぐらいで、熱を出すことも、体の節々が痛くなるようなことも無く済んだ。接種から4日が経過している今日も何の異状も無く至って快調だ。

カナダは今第4波の真っ只中にあり、ここ最近は当地アルバータ州でも1日の新規感染者数が1500人前後で推移している。まるで収束が見えて来ない今の状況に鑑みれば、ワクチン接種後の時間の経過に伴う免疫力の低下も相まって、いずれは誰もが3度目の接種を受けなければいけない時が来るのではないだろうか。