カナダで腎臓摘出手術を受けた我が家の犬

我が家の次女(雑種犬)の話。

後肢の動きがスムーズでないことからかかりつけの動物病院に連れて行き、結果股関節形成不全と診断されるに至る過程で新たに発覚した腎臓肥大の異常。前者は手術(股関節全置換術)の難度が高く、術後の回復にも時間を要するといった理由から、肥大した腎臓の摘出手術を先に受けることになり、先週火曜日に当地の専門医に執刀してもらった。

幸い手術は無事に終わりその翌日にはもう退院した。他の国ではどうか分からないが、カナダでは動物に限らず、人であっても手術後の入院期間が日本と比較してずっと短いとは聞いていた。それでも腎臓を取ってしまった次の日に退院などして大丈夫なのかと心配になったものの、こればかりは私に判断の余地も決定の権限も無く、言われるがままに病院まで迎えに行くしかなかった。

そして術後1週間が経過しようとしている今、彼女の調子はすこぶる良い。体にメスを入れ、臓器を摘出したのだから、当然ながら負担は小さなものではないと思うのだが、まだ9ヶ月の犬がそうそうおとなしくしていられるはずも無く、いつも私がつきっきりで見ているような状況だ。

私がもっと若かったのなら、こうして幼子の世話をするに充分足り得るだけの体力もあるのだろう。しかし四十代も半ばに突入した身には骨が折れて折れて、折れた骨同士がぶつかって音楽でも奏で始めんばかり。人間の子供を育てた経験は無いけれど、世の中のおじいちゃんおばあちゃんが孫の世話をするのは一体どれだけ大変なのだろうかなどと、そんな余計な事まで考えてしまう。

ちなみに、今回の手術は何かを修復するものとは違い、ただ切って、取り、後は縫い合わせるだけの作業だからなのか、費用も想像していた程は高くならなかった。4100カナダドルだったから、現行のレートで日本円にすると約38万円。それも90%カバーしてくれるペット保険のおかげで、実際の支払は400ドル(3万7千円)程度で済んでいる。

日頃支払っている税金を含めて考えても、人間ならば臓器を摘出しようが、移植しようが、こうした医療サービスを全て無料で受けられるのはありがたい事だと改めて感じる。現実に、その心配をする必要が無い分ペット保険にお金を回せているのだし、今回もその結果として治療費を低く抑えることができた。

放っておけば更に肥大を続けていたという彼女の腎臓。そうなれば当然体にも更なる悪影響が出ていたことだろう。歩き方に違和感を覚え連れて行った病院で初めて知ったぐらいで、それが無ければ暫く放置されたままだったのだし、今回こうして2つの病気をほぼ同時に発症したのも必ずしも悪い事だけではなかったと思いたい。

抜糸までは1週間。まだあと1週間このおてんば娘に四六時中目を光らせていないといけないのかと正直憂鬱になりそうだが、手術は成功したのだし、そのおかげで健康体にも一歩近づいた訳で、これからの私と娘2匹の生活に想いを馳せることで今の時期を懸命に乗り切り、次の手術に向けての準備もそろそろ始めるつもりだ。

『カナダで股関節形成不全の診断を受けた犬のその後』へつづく