Swoop エドモントンートロント搭乗記 カナダでもLCCは結局LCCだった?

世は今やLCC絶盛期とも言える状況で、人々が空の旅を計画する上で無視することのできない存在になっている。ヨーロッパから押し寄せたそのうねり(LCCのビジネスモデルそのものはアメリカが起源)は保守的な日本の市場すらも既に飲み込んでいるし、ここ北米でもお隣りアメリカなどではLCCがその航空市場で大きく幅を利かせている。

ではカナダはどうかと言うと、選択肢にしても、ネットワークにしても、まだまだ今後の更なる発展を待たなければならない状況にあるように見える。

そのような中、つい先日私も初めてカナダでLCCを利用する機会に恵まれた。


今回使ったのはカナダ第2の航空会社であるWestjet(ウエストジェット)が運営するLCC部門のSwoop

日本でもANAがピーチを、JALがジェットスター・ジャパンをそれぞれ傘下に持っているのと同様なのだが、このSwoopはただのLCCとは違って、ULCC (ultra low-cost carrier) 、つまり「超」がつく程の格安航空会社であると自らの優位性を謳っている。

しかし、実際のところその価格設定はなかなかに微妙だ。

これは来月(2021年11月)中に比較的安く設定されていた日程の一例(上段がSwoop、下段がエアカナダ)で、今回私が利用したのと同じエドモントンからトロントへの往復での価格だ。こうして見ると確かにSwoopの方がかなり安いように思われる。

ところが、私もチケットを購入する段階になって初めて気がついたのは、Swoopの場合機内に持ち込める荷物の大きさにかなり厳しい制限が課せられている点だった。

普通の大きさのリュックサックであったり、ラップトップのパソコンを収納できる程度のビジネスバッグについては無料で持ち込めるものの、41cm x 15cm x 33cmを超えるサイズでは費用が発生する。つまり数日間の小旅行や出張で重宝するキャリーバッグも有料扱いになるということだ(受託手荷物は言うまでもなく有料)。

上図のSwoopとエアカナダでは84カナダドルの差があるとは言え、前者ではキャリーバッグを1つ持ち込むだけで最低でも片道40ドル(往復で80ドル)かかることを考えれば、結局その差は僅か4ドルにまで縮まる。

では機内はどうだろう。

使用される機材が大きい訳も無く、シートピッチもなかなかに窮屈。通路を挟んで片側3席の配列で、チケット購入時に座席指定をすれば別途費用が発生するのはLCCでは当たり前とは言え、チェックインの時点でも指定はできず、自動的にあてがわれたのが真ん中の席だとなお窮屈だ。日本ならまだしもここはカナダ。両隣りの席を体が大きめの人に占められ、且つ長距離移動では不快極まりない。

そして水のサービスすら無い。エアカナダならば水にプレッツェルぐらいは出て来るところ、Swoopにとっては1杯の水も貴重な収入源ということらしい。私も帰りの便で喉の渇きに耐えられずにミネラルウォーターを1本購入したところ、何と4ドル近くもして驚かされた。

そう言えば、コロナ禍ということもあって搭乗時には除菌シートを渡された。座席やアームレスト、テーブルなどを拭くようにと言われたのだが、乗客が搭乗する前の清掃作業ではそこまでカバーしていないのかと気になった。このご時世でも行きも帰りも満席のフライトだったし、コロナ対策が徹底されているのか一抹の不安を感じずにはいられなかったのは事実だ。

以上のことを踏まえて考えると、私はSwoopに大した利用価値があるとは感じられなかった。

当然ながら、無料の範囲で持ち込める手荷物しか無い場合であったり、日程によって両者間に大きな価格差が生まれるケースもあるだろう。それでも、元々就航都市や便数が大手航空会社と比較して少なく、搭乗予定便に急なキャンセルがあった際の振替便の手配や補償にも不安がある等、LCCならではのデメリットを含めて考慮した時、今後は多少の価格差があってもより安心感のある大手を選ぶだろうと思う。

さよなら、Swoop。

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