カナダの市民権授与式への招待状が届いた

ようやくその日を迎えることになった。

長かった。本当に長かった。

申請書提出から授与式までに要した時間は379日

申請書を出して以来、コロナ禍の影響もあってか、必要以上に先の見えない待ちぼうけを喰らわされているような感覚を覚え、期待と失望を繰り返しながら過ごしたこの1年間。その期待も失望も、実のところ市民権取得に対してではなかったのだが、必然的に大きな変化を迎え入れることになると分かっている以上、それが1日でも早くやって来て欲しいとの思いはやはり強かった。

ところが、申請が通ったとの通知を受けてからもなかなか次には進まず、一体いつまでこんな状態が続くのかと思っていた。

そんな私にもとうとうゴールが見える。市民権授与式への招待状が届いたのだ。

今にしても授与式当日がやって来るのを待っている状態であるのには変わりないものの、当然これまでの終わりが見えない待ち時間とは違い、日時が提示され、確実にその日に近づいていることを実感できることもあって、精神的にずっとリラックスした状態で居られるし、市民権を取得した後にこなすべき一連の作業についても、より現実味を持って計画を立てることができるようになっている。

それにしても、379日という時間はよく言うような「長いようで短かった」ではなく、ただひたすらに長かった。

市民権授与式開催日とタイムゾーンに注意

対面方式の授与式であれば、基本的には各人の居住地、もしくはその周辺の会場で参加することになるところ、現在のオンライン方式による授与式では、カナダの西から東まで各地に住む人が一堂に会して行われる。

面白いのは、今回届いた招待状にも開催時間が5つの異なるタイムゾーンで案内されていることで、ブリティッシュコロンビア州から、アルバータ州、サスカチュワン州、マニトバ州、そしてここオンタリオ州まで、それぞれの時間での記載があった。ちなみに私が参加する授与式の場合、オンタリオの時間なら午後12時半、最も西にあるブリティッシュコロンビアの時間では午前9時半からのスタートになる。

また、てっきりこのような式は週末にあるものだと思っていたのが、平日のそれもど真ん中の水曜日開催であるのは少々意外だった。単に国の職員も休日出勤は嫌だからなのか、それとも週末に開催される場合もあるのかは私にも分からない。なお、無給扱いながらも、市民権授与式に参加する目的で仕事を休む権利を認めているとウェブサイト上に明記している州もあり、アルバータサスカチュワンマニトバノバスコシアの各州でその内容を確認することができる。

オンラインでの授与式は「残念」なのか

こうして招待状を受け取るまでは、カナダではコロナとの共存もかなり進んでいることもあって、そろそろ対面での授与式が再開されているのではと淡い期待を抱いていた。しかし現実にはそうは行かず、やはり今でも Zoom を使ったバーチャル授与式なのだそうだ(移民局のウェブサイトにもそのように書かれている)。

一生に一度(?)の市民権授与式に参加するのに、「パソコンやタブレットの画面と向き合っての方式じゃあ何とも・・・」などと言われる度に、確かにそれでは味気ないよなと私自身も思っていた。それでも、このコロナ禍で人生初となる経験はいくらでもして来た訳だし、それまでの常識が失われたことを嘆くより、できる限りポジティブに、「初物」のフレッシュさを感じようとすることに慣れて来ているのもまた事実。

思い起こせば、私が初めて海外に出て生活を始めた頃など、インターネットどころか、パソコンすら一家に1台もあるか無いかという時だったし、Zoom にしてもここ数年で急に広まったようなもので、市民権の授与式という厳粛なシーンがそういった技術を活用して行われることや、それを許せるオープンマインドが醸成されている社会を見ても、時代が着実に前に進んでいるのを感じて、実は結構悪くないんじゃないかとここに来て思い始めた。

物は考えようとはよく言ったものだ。

そして始まった日本国籍喪失までのカウントダウン

市民権を授与される日は、つまり私が日本国籍を喪失する日でもある。そしてその日はあと2週間足らずでやって来る。

ところが現時点ではまるでそんな実感は無い。

きっとこの間、大して特別なことなどできないのだろう。それでも、市民権を取得してすぐの頃は相当忙しくなるはずだから、せめて今のうちはなるべく心を穏やかにして、日本国籍であることで与えてもらって来たことに感謝の気持ちを持ちながら過ごせればと思っている。終わりつつあるものを、ただ未練がましく、近くに感じていたいだけなのかも知れないが。

泣いても、笑っても、残りはあと12日あるだけだ。

オススメのダシガラより

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