カナダでコロナワクチンとインフルエンザワクチンを同時接種した話

ここカナダ・オンタリオ州では、これまでも高齢者や医療従事者を対象にコロナのブースターワクチンが提供されていたが、先月末から一般に向けての接種がようやくスタートした。

久々となる「コロナ」の話。

最近はほとんどニュースにもならず(少なくともカナダに於いては)、遠い過去の話になってしまったかのようだが、ここオンタリオ州でも最近になってブースターワクチンの提供がスタートした。

ちなみにケベック州やアルバータ州などはもう少し早くから始まっていたようなのだが、オンタリオ州では10月30日にインフルエンザワクチンの提供と同時スタートとなった。

ところが、これがあまりにも話題にならないものだから、一体どれだけの人が接種を受けたのか、もしくは受けようとしているのかも分からない。

私が住むウィンザーでは、事前予約を入れようと薬局のサイトを覗いてもタイムスロットは選び放題だし、予約無しの「ウォークイン」であっても待ち時間すら発生しないで済むのではないだろうか。

コロナ禍真っ最中の頃とは違って、何人がワクチン接種を受けたのか、毎日その数値が公表されることも無く、メディアが緊迫感を伴って取り上げるようなことも無くなったから、もう「どっちでもいい」と考えている人が少なくないように思う。

実は私だって、コロナに感染して、万一重症化でもしてしまったら犬の世話ができなくなって困るから、ぐらいの理由で接種すると決めたようなもの。

もちろん、ここカナダではコロナとインフルエンザいずれのワクチンも無料で接種できるからというのもある。

これらのワクチンについては副反応云々を言う人も少なくないが、私自身これまで既に4回の接種歴があり、アストラゼネカ、ファイザー、モデルナとそれぞれ異なるワクチンを打ってもらっても問題無く来ているから、その点についてはもう無駄に心配しないようにしている。

そうして、オンタリオ州の保健当局が推奨するままに、コロナ&インフルとのワクチン2種を同時接種することに決めた私。

一応事前に済ませておいた予約どおりの時間に薬局に赴く。ワクチン接種に際しては、これまでに重い副反応を起こしたことが無いか、特別な薬の服用を伴う病気の治療の最中ではないかと、などといった質問に答える必要があるのだが、これもウェブ上で予約を入れた際に済ませており、薬局の受付で聞かれた質問はただ一つだけ。

「ファイザーとモデルナ、どっちがいい?」

思い違いが無ければ、以前はそれぞれの薬局でファイザーかモデルナ(場合によってはノババックス)いずれか一種しか用意がされておらず、希望するワクチンがある薬局を選んで予約を入れていたはず。

ところが今回予約を入れた時には、どのワクチンの接種を希望するのかという質問も、どの薬局にどのワクチンが用意されているのかに関する情報もすっかり抜け落ちていて、不安にこそならなくても、確かに不思議には思っていたのだ。

そうしたら実は行った先の薬局で直接選べるようになっていたとは。これも果たしていいのか、悪いのか、隔世の感を禁じ得ない。

元は「どっちでもいい」と思っていても、突然選択肢を与えられると逆に悩むもの。

数秒ほど考えた後で「前回モデルナだったから今回もモデルナで」と答えたのだが、実際のところは、①アストラゼネカ、②ファイザー、③ファイザー、④モデルナと接種を受けて来たから、単にファイザーと回数を合わせようかと思っただけのこと。

ちなみに、これまでにカナダで承認されているXBB1.5対応のワクチンはファイザー製とモデルナ製のみで、ノババックスについてはまだ認可が下りていないらしい。

コロナが猛威を振るっていた頃の名残か、診察室のドアには入室前のマスク着用を求める注意書きが貼られたまま。ところが、実際に注射を担当する薬剤師自身ですらマスクはつけておらず、もちろん私にもその準備は無かった。

当時流行った言葉で言えば、それこそ「密」な環境であるのにもかかわらず、私と同じくアルバータ州エドモントンから越して来たと言う彼と、互いにマスク無しでおしゃべりに興じながら注射してもらう展開。

これだから海外は怖いだとか、双方共に不謹慎だとか、そんな声も聞こえて来そうだが、現実としてあの当時から今日に至るまで時は着実に流れ続け、状況だってすっかり変わったのだ。

コロナワクチンの方が強いからと、利き手(利き腕?)とは逆の左腕に打ってもらい、インフルエンザワクチンは右腕に。あっという間の出来事だ。

私は子供の頃から注射が大嫌いだった。無料だと知っていても、カナダに来て初めの数年はインフルエンザの予防接種を受けに行こうとも思わなかったし、今回のように同時に2本の注射を打ってもらうなど、以前の私にとっては悪夢以外の何物でもなかった。

それがとても痛い種類の注射ならともかく、コロナやインフルエンザのワクチン程度であれば、人に言われずとも自分から進んでその接種を受けに行こうと思うようになったのは、やはりコロナ禍が私にもたらした影響によるものであり、あの時代を生きたことで獲得した経験値があってこそなのだと捉えている。

そうとは言え、私はロールプレイングゲームの主人公などではなく、あくまで生身の人間だから、如何に経験値を積み、レベルが上がったように感じたところで、体力までもが無尽蔵に増えて行く訳ではない。いや、増えるどころか、それこそ坂道を転げるかのように、私の体力値は急下降中である。

体力のある無しとワクチン接種での副反応の強さに相互関係があるのかどうかは分からない。ただ、元々体力不足の場合で、副反応が出た時によりつらく感じてしまうのではないかとは思う。私はつまりそんな感じだ。

それでも、2種類のワクチンを同時接種したからどうこうということは無く、あくまで過去の接種時での反応を踏まえて想像し得る範囲内のつらさで、多少の熱発に、筋肉痛と関節のだるさがある程度で済んだのは幸いだった。

カナダで生活している以上、病院にかかるというのはとても骨の折れることで、日本のように気軽に行ける訳ではない。そういった事態を未然に防ぐ為に、もしワクチンが有効であるのならそれを接種しない手は無いと私は考えている。

だから、コロナとインフルエンザのワクチンを接種することが、恐らくは今後も毎年秋がやって来る度に欠かせないイベントになるのだろう。今年はもう無事にそのイベントを済ませることができたのには感謝だ。

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