NEXUSカードでカナダ・アメリカ間を行き来する

カナダ、もしくはアメリカの市民権(或いは永住権)保持者で、頻繁に両国間を行き来するなら持っておくと便利かも知れない(?)NEXUSカード。

国境線沿いにある都市、カナダ・ウィンザーに在住し、実際に所有してみての個人的な感想も含め、果たしてどれだけ便利なのかを検証してみる。

NEXUSカードは、特にカナダ・アメリカ間を頻繁に行き来する人がよりスムーズに国境越えをできるようにしてくれる便利アイテムで、カード保持者だけに与えられる「特典」がいくつかある。

空港の保安検査場で行列に並ばなくていい

空港でチェックインを済ませた後に待ち構えるのが保安検査。コロナ禍から今日まで続く空港スタッフ減少の影響により大混雑になることも多い各地の空港で、保安検査の行列に並ばされるのは結構フラストレーションが溜まるもの。

ー カナダ国内の場合

ところが、カナダ国内の一部の空港ではNEXUSカード所持者を対象に設置されたレーン (Trusted Traveller Line) があり、そんな行列を傍目に見ながらスムーズに検査場に到達できるようになっている。レーンが設置された空港であれば、カード保持者はその目的地を問われることは無く、国内線利用時でも通ることが可能となるのはうれしい。

このレーンを通って保安検査を受ける際、規定範囲内の液体物をカバンから取り出したり、ベルトを外したり、靴を脱いだりなどという面倒からも免れることができる。

ー アメリカ国内の場合

アメリカにもカナダ同様、多くの空港にNEXUSカード保持者が通ることのできるレーンがある。ただ、そのレーンを通るためにはカードを保持しているだけでは足らず、航空券の予約時、またはチェックインの際に、Known Traveler Number(NEXUSカード裏面にある9桁の CBP PASSID)を提示した上で、搭乗券にカード保持者であることを示す 「TSAPRECHK」、「TSA PRE」、「TSA Pre✓®」などの文字が印字されていることがレーン利用の条件になる。

なおアメリカでのこのルールは、NEXUSカードの特典に TSA PreCheck® が含まれることによるもので、カナダと同じく保安検査が簡素化され、パソコンですらカバンに入れたままでも大丈夫だ(カナダの空港ではパソコンを取り出すよう求められる)。

注意が必要なのは、カナダ在住のNEXUSカード所持者のうち、アメリカの空港でこの待遇(レーン利用及び保安検査の簡素化)を受けられるのはカナダ国籍者だけであり、残念ながらカナダの永住権保持者については適用されない点。アメリカの永住権保持者であれば使えるところ、前者はその恩恵を受けられないのは不公平にも感じるが仕方無い。

TSA PreCheck® に対応している航空会社はこちらを参照

空港での入国がよりスムーズになる

NEXUSカード所持者が飛行機を利用する際、出発時だけではなく、海外からの到着時の入国の流れもよりスムーズになる。

ー カナダ到着時の場合

カナダの国際空港にある入国審査場では、日本同様にカナダ国籍者と外国人でレーンが分かれるだけでなく、その他にNEXUSカード所持者だけが通れるレーンを設置している(合計10,000カナダドル以上の現金や通貨代替物を所持して入国する場合は利用不可)。

ー アメリカ到着時の場合

カナダの空港以上に入国審査場での混雑が激しいアメリカの空港。特にハブ空港ともなれば長蛇の列に1時間以上も並ばされるようなことも頻繁に発生する。しかしNEXUSカード所持者にはここでも有難い特典があり、NEXUSに自動的に含まれる Global Entry プログラムを活用することで、Global Entry の自動キオスクで税関申告を済ませ、レシートを受け取ると、ダイレクトに手荷物受取所、そして出口へと案内されるようになる(場合により異なる対応をされることもあり)。

なお、NEXUSカード所持者が Global Entry キオスクを利用する場合、基本的には機械読み取り式のパスポート、或いはアメリカの永住者カードをスキャンする必要があるところ、アメリカの事前入国審査場(preclearance)が設置されたカナダ国内の空港に限ってはNEXUSカードをスキャンしても問題は無い。

陸路での国境越えにも使える

国境から近い地域に住み、車を運転してカナダからアメリカへ、また反対にアメリカからカナダへと出かける機会が多い人にも、(場所によっては)このNEXUSカードがスムーズな国境越えに役に立ってくれる。

現在、計21ヶ所の陸路国境検問所にNEXUSレーンが設置されており、一般のレーンが混雑しているような時でも、短い待ち時間で通り抜けられるようになる。ただ、これには一つ落とし穴もあり、国境検問所が橋やトンネルを過ぎた後に設置されているようなケース(例:ウィンザー・デトロイト間)になると、橋もトンネルも片道1車線(或いは2車線)しか無いせいでボトルネック渋滞を引き起こし、検問所直前まで来てようやく現れるNEXUSレーンに入ったところで待ち時間は大して変わらない。

身分証明にも使えるNEXUSカード

NEXUSカードはその申請者がカナダとアメリカ両国の審査を受け、条件を満たしたとみなされた場合にのみ発行されるものである為、運転免許証やパスポートと同様、正式な身分証明書として使用することができる。

ー カナダとアメリカへの入国時

所持するNEXUSカードがカナダとアメリカのいずれで発行されたかを問わず、カナダ及びアメリカ国籍者は両国への入国時にNEXUSカードを提示でき、必ずしもパスポートを携行は求められない(現実には携行するに越したことは無い)。

対して、カナダ若しくはアメリカの永住権保持者については、両国間の移動であってもパスポートの携行が必須となっている。

ー 飛行機の国内線利用時

カナダ若しくはアメリカで国内線を利用する際、NEXUSカードは運転免許証やパスポートと並んで、搭乗時に提示可能な身分証明書として認められている。

実際に使ってみての感想

こうしてNEXUSカードを持つことのメリットを挙げてみるとなかなかに使い勝手が良さそうに感じられるが、実際のところいつもその恩恵を受けられるとは限らない。

例えば、前述したように陸路国境でNEXUSレーンを通りたいと思ったところで、道路の構造上レーンに辿り着くまでに渋滞が発生しているような場合にはほとんど意味をなさないばかりか、NEXUSレーンを設置しているとされている国境検問所であっても、時によってはそれを設置していなかったりと(例:デトロイト・ウィンザートンネルのアメリカ側)、かなり気まぐれな感があるのは否めない。

それは空港での入国時にも言えることで、現場職員の裁量に左右されてしまう為に、NEXUSカードを持っているからと言って間に合うかどうかギリギリの乗り継ぎ便を手配してしまうと、結局は痛い目に遭う(経験談)などということがあるかも知れないのには注意が必要。

また、空路、陸路を問わず、NEXUSレーンを通る全ての人はNEXUSカードの所持者でなければならない。飛行機を利用する際にNEXUSカードを持たない同行者を伴って並ぶのは認められず、車の同乗者に1人でもNEXUSカードを持たない人が居る場合にもNEXUSレーンの使用は不可となる。

そうとは言え、大抵のケースでNEXUSカードの効力が絶大であることには変わらず、カナダやアメリカで頻繁に出入国を繰り返すのであれば、50米ドルで5年間有効であるこのカードを持つのは充分メリットがあると言えるだろう。

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