N’EX TOKYO round trip ticket は訪日外国人観光客向けのお得な切符
成田空港と東京との間を移動する手段として、京成スカイライナーやリムジンバスの他に挙げられるのが、JR東日本の「成田エクスプレス」。N’EX TOKYO round trip ticket は、「成田エクスプレス」を利用する訪日外国人観光客を対象に販売されているお得な往復切符だ。
実のところ、「お得な切符」とは言っても必ずしもいつもお得と言える程でもない。
例えば成田空港から新宿駅まで「成田エクスプレス」で移動する場合。通常料金は3050円であるところ、N’EX TOKYO round trip ticket を購入すれば往復で5000円だから、片道計算では2500円で済むことになる。つまり通常料金から約2割引と言ったところ。
ところが、事前に「えきねっとトクだ値」で同区間の切符を購入すると片道料金を2640円まで抑えることが可能であり、N’EX TOKYO round trip ticket のお得感はほとんど無くなってしまう。
都心を越えて更にその先まで移動するケースで初めて発揮される N’EX TOKYO round trip ticket の真価
実はこの切符、都心を越えて更に遠くまで移動することで、初めてそのお得さを最大限享受できるようになっている。
例えば横浜や大船への移動に「成田エクスプレス」を利用するケース。この場合でも切符の値段が片道計算で2500円であるのは変わらず、東京や新宿といった成田空港からより近距離にある駅への移動と比較して通常料金との差が大きくなる。
成田空港〜横浜間を例にとると、通常料金4170円との差額は1670円、「えきねっとトクだ値」を利用した際の最安値である3530円と比べても1030円もの料金差が出ることになる。成田空港〜大船間の移動なら、この差額がそれぞれ2200円、1360円にもなるのだ。
当然ながら、往復するのならその倍の金額分移動費を安くあげることが可能となるのだから、外国のパスポートを所持している人ならばこの切符を利用しない手は無い。
成田エクスプレス下車後に他の駅まで乗継が必要な場合
N’EX TOKYO round trip ticket がお得であるのは、この切符に含まれる乗車券のカバーするエリアが広い点にもよる。
実際に購入すると分かるのだが、この切符は成田空港(空港第2ビル)〜 東京電車特定区間の移動に利用ができる。これが何を意味するかと言うと、「成田エクスプレス」を下車後であっても東京電車特定区間内への移動には別途切符を購入する必要が無いということ。
この東京電車特定区間と呼ばれるエリアが結構広く、そこには大宮や高尾のような駅までもが含まれる(JR東日本のウェブサイトで実際のエリアを確認)。つまり、新宿まで「成田エクスプレス」を使い、そのまま中央線快速に乗り継いで八王子や高尾まで行くこともできる。
また、新宿駅で中央線特急の「あずさ」や「かいじ」に乗り換えて甲府や松本方面へと移動するような場合でも、その特急券は新宿から目的地まで購入する必要があるのに対して、乗車券については中央線上で東京電車特定区間の末端である高尾から目的地分までの購入で済むのだからうれしい(新宿〜甲府間の運賃が2310円のところ、高尾〜甲府間での購入なら1520円)。
成田空港での N’EX TOKYO round trip ticket 購入は自動券売機が便利
訪日外国人観光客向けに、成田空港と東京都心及びその近郊間の往復切符として発売されるだけあり、購入できるのは成田空港駅と空港第2ビル駅のみとなっている。
これらの駅のいずれにもみどりの窓口やJRトラベルサービスセンターといった切符の購入が可能な施設があるものの、大抵はジャパンレールパスの引き換えで列を成す外国人客で溢れ返っていることもあり、パスポートリーダーが設置された自動券売機で購入するのがよりスムーズで手っ取り早い。
この時、N’EX TOKYO round trip ticket を購入するだけでは「成田エクスプレス」には乗車できず、購入後同じ券売機を使って座席指定を受ける必要がある点には要注意。また、前述のように「成田エクスプレス」下車後に別の特急列車に乗り継ぐようなケースでは、場合によってその特急券と乗車券を異なる区間に設定して購入すべきであることも覚えておきたい。