カナダ国内への旅行はアメリカを経由して行く

日本に比べてもアメリカへの依存度が高い国、それがここカナダ。

国単位での繋がりはもちろんのこと、個人レベルに於いても、海外では自分がアメリカ人だと間違えられるのを嫌がるわりに(半分ジョークで半分は本気?)、精神的な繋がりは案外しっかりキープしているように思われる(少なくともカナダ人からアメリカ人に対しては)。

そういった事情に大して興味は無い私ではあるが、カナダで、それもオンタリオ州のウィンザーという地理的に少々特殊な場所で暮らしていると、アメリカが近くにあるのと無いのとでは生活の質にも大きな違いがあるのは確かだ。

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そのように改めて感じさせられたのは、今回、アルバータ州・エドモントンへの「帰郷」(持ち家がエドモントンにある)を計画していた時のこと。

ウィンザーからエドモントンまで本来最も手っ取り早いのは、飛行機でまずトロントに飛び、そこからエドモントンへと乗り継ぐという行き方。ところが、ウィンザーのような地方空港発着の航空券は結構値が張ることが多いだけでなく、コロナ禍の影響を受けた航空業界の人員不足により、フライトの急なキャンセルが頻発している。

私も先日トロントからの帰りに予約を入れていたのはエアカナダの朝9時発の便だったはずが、急遽キャンセルで次の便へと変更され、その便もまたキャンセルで更に次の便に変更、そしてまたまたキャンセルで最終的には夜の最終便に回された。朝から空港で缶詰にされた挙句、それまでキャンセルされたら堪らないと予約そのものをキャンセルし、結局は電車で5時間かけてウィンザーまで帰って来た。

あの日の忌々しい記憶が蘇ったせいで話が随分と飛んでしまったが、こうしてウィンザーに生活していながらも、ウィンザー空港を利用するというのは案外不便で、同時にリスクも伴うものだから、できれば他の方法でより確実に移動できるプランを立てておきたい。

そこで、来月のエドモントン行きに利用することにしたのがアメリカのデトロイト空港。万一に予約していたフライトがキャンセルされてしまったような場合でも、デトロイトなら便数、就航地ともに多く、ルートと経由地を変更するなどの工夫をすることで次の手配がしやすいのは、航空会社と乗客のいずれにとっても好都合だ。これがウィンザー空港発の場合、基本的には次のトロント便を待つ他に術は無い。

金曜日の午後から日曜日の夜まで、という限られた時間の中で行って帰って来なければいけない私にとって、臨機応変に対応できるだけの「幅の広さ」があるのは大きなメリットであり、いつぞやのように「キャンセル+キャンセル+キャンセル=電車」なんてハプニングが省けるのだから有難い。

幸いにも、我が家からデトロイト空港へは陸路でのアメリカ入国がスムーズだったらという条件付きで35分程度の距離。ウィンザー空港に行くのだって20分弱はかかり、国境のこっちと向こうにあるにもかかわらず所要時間に大差は無い。

おまけに、ウィンザーからトロント経由でエドモントンまでカナダ国内線を乗り継ぐより、デトロイトからトロント経由でエドモントンへ行く方が300ドル近くも安かったのは意外だった。

ウィンザーから一旦デトロイトに出た時にアメリカで入国審査を受け、デトロイトからトロントに到着したら今度はカナダの入国審査を受けなければいけないという、正直どこかアホくさいプロセスを踏む必要があるものの、それ以上のメリットがあることを思えば充分許容範囲内だと言えるのではないか。

カナダという国はおもしろいもので、ウィンザーのようにカナダでも比較的珍しい地理的条件を備えた町のみならず、車を運転して旅をする場合、アメリカを経由した方が走行距離はより短くなり、道中に発生する費用もより少なくなることがよくある。この傾向は特に長距離での移動で顕著になる。

これまでに私がこの方法を実践する機会があったのは1度きりだが、それがケベック州南部から当時住んでいたニューブランズウィック州に帰る時だった。カナダ国内だけを走るルートと、アメリカを経由するルートを比較すると、走行距離は250km、所要時間では1時間半程後者の方が少なくて済んだ。ガソリンもアメリカの方がずっと安いから、どの点をとって見てもメリットが大きい。

ワーホリなどを終えて日本へと帰国してしまう前に、せっかくだからとカナダ横断旅行に出てみたい気持ちも理解できなくはないけれど、これまで2度経験済みの私に言わせれば、ロッキー周辺を除いてこれといった見どころも無く、出費ばかり余計に増えるカナダ国内ルートを通るよりは、アメリカを経由した方がいい気がする。試しにグーグルマップでも使って、バンクーバーからトロントへのルート検索でもしてみるといい。カナダ国内を走るルートなど全く出て来ないから。

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