連邦職員のストライキが続くカナダで

待遇に不満を抱えた連邦職員によるストライキが始まって1週間になり、カナダのニュースはすっかりその話題で持ちきりだ。

さて、いつまで続くことやら。

4月19日に始まったカナダ連邦政府職員のストライキ。

正直言うと、私も事情を詳しくは知らないし、知ろうとする気もあまり起きて来ない。ただそれが1週間も続けば、もうそろそろいい加減にしてくれよと、この話題に支配されたままのニュースを見ながら思わずにいられない。

まあ彼等にもストライキを実施する権利というものがあるのだろうから、私もカナダ国民としてそれを尊重しなければいけないのは一応心得ている。でも今回の彼等の行動を支持するしないは全く別の話だ。

直接的に連邦政府職員と関わるような場面がそこまで多くあった訳ではないにしても、その少ない場面がこれまで私に与えて来た印象でよかったと思えるものがどれだけあっただろうか。目の前で長々と無駄なお喋りをしているのを聞かされたり、ようやく自分の番が回って来たと思っても遅い頭と手の動きにイライラさせられたのは覚えているけれど。

その上、誰もが普通に仕事をしている日だって連邦職員なら休みになったり。私も一度はそれでパスポートオフィスまで無駄足こいたのは去年の話。

基本的にそんなイメージばかりなのだから、彼等がどのようにしてストライキを実施するまでに至ったのか、その背景を知ろうなどという気が起きないのも当たり前と言えば当たり前。

物価の上昇に見合う賃金の調整とか、リモートワークの権利だとかを彼等は主張しているらしいが、過去3年コロナ禍の影響を大きく受けて来たこの国で給料がアップした人がそんなに居るとは思えないし、一時期は必要に迫られて流行ったリモートワークにしても、今では多くの人が出社回帰の流れで週5日しっかり会社で働く生活に戻っている。

「大体、公の面前に晒されること無く、自宅という完全プライベート環境で仕事をする公務員ってどんな公務員だよ」と思うのは私が時代錯誤しているからなのだろうか。

やはり日本人としてのバックグラウンドがある以上、私もどうしても仕事の質や、仕事に対する態度にそれなりの要求をしてしまうのは否めない。その点が私自身とこの地に生まれ育った人達との間にある程度の乖離を生み出しているのは事実だとも思う。

ところが、実は今回のストライキについてはネット上でも反対意見が目立っている。普段からしっかり仕事をしてくれているのであれば、誰だって連邦職員の給与が血税から賄われていることに対して何の不満も持たないのだろうが、特に今回ばかりは彼等がその要求に見合うだけの仕事をしていないと感じている人が少なくないようだ。

てっきり大半の人は無条件に彼等を支持するものだと思っていた私は、何かを主張する前にはまず義務を果たすのが当然だと考える人が一定数存在していることに正直安堵させられた。

連邦職員が仕事の質を向上させるのを待つより、そんな彼等のグダグダさに慣れっこになった方が手っ取り早く、現時点では既に怒りも諦めも通り過ぎてほぼ麻痺状態の私ではあるが、少なくとも国籍上はカナダ人となった以上、こういった場面では臆すること無く言いたい文句を言ってしまいたい。これまではやはり外国人であるが故に、どこか引け目を感じて素直に口に出せない場面があったからだ。

同時に、ただ吐き散らすだけのクレーマーにならない為に、より自覚を持ってこの国を知ろうとする態度もまた必要不可欠。去年の秋に市民権を取得して以降も私の関心は日本のニュースにばかり行きがちで、カナダのニュースはいつだって二の次になっているのが現状だから、それを改善する為の努力もしなくてはいけないだろう。市民権を取り、パスポートを取ったらそれで終わりではないのだ。