コロナ禍の影響を受ける北米のペット医療事情

我が家の犬(「次女」)が股関節形成不全であるとの診断を受けたのは去年の9月。

当時住んでいたエドモントン一帯ではその手術を受けられる場所が無かったことに、11月にはオンタリオ州への引越が迫っていたことも加わって、その間はかかりつけ医で処方してもらった痛み止めに頼ってどうにかやり過ごして来て今日に至る。

こうしている間にももちろん病院探しはしていて、越して来たのがアメリカと国境を接するウィンザーであることから、この症例の手術件数が多く、評判もいい病院を、カナダとアメリカの双方で数ヶ所ずつピックアップしておいた。

ところが、ここに来て大流行しているのがオミクロン株だ。

元々どこでも受けられる手術ではない為に、病院を探すこと自体は決して難しい作業ではなかった。ただ、近頃のオミクロン株の流行はペット医療の現場にまで影響を及ぼし、人員不足に陥った病院では既に手配済みの手術さえ延期せざるを得ない状況が発生しているらしく、次女の手術もすぐに受けられる見込みが無いことを知らされた。

ちなみにこれまでに私がコンタクトを取っているのは、カナダ国内ではここオンタリオ州にあり、獣医学で世界的にも有名なゲルフ大学の附属病院、アメリカについてはそれぞれ近隣のオハイオ州インディアナ州ミシガン州にある病院。そのいずれでも人員不足が顕在化していて、早くても4月末にようやく術前診察を受けられるという具合だから手術は当然更に先の話になる。

それでも幸いなのは次女の症状が特に命に関わるものではないということ。最近よく言われる「クオリティー・オブ・ライフ」は多かれ少なかれ影響を受けるとは言え、今この時代を生きる以上、人であれ、犬であれ、それを避けることなどできないのだろう。親身になってくれるお医者さんが居るだけ有り難いと思わなければならないし、診てもらえるまでは私も注意深く彼女を見守り続けて行く。

周りを海に囲まれた日本とは違い、カナダとアメリカは陸続きだけあり、こうしてコロナウイルスが蔓延する時代にはより近い距離感で運命も対応も共にする。一旦片方が対処方法を誤れば、もう片方もその影響を免れることはできないし、前者を責めたところで物理的な距離まで広げられる訳でもない。

逆に考えると、カナダからアメリカへ、或いはアメリカからカナダへと犬を病院に連れて行けるのは、そんな距離感だからこそ生まれ得る自由な発想だし、カナダで入ったペット保険がアメリカでも使えることにしても、その距離感があって初めて実現しているのだろう。特にウィンザーのような、遠くのトロントより近くのデトロイトに頼る町に暮らしてみると、そういった感覚は尚のこと強くなるものだ。

コロナ禍で影響を受けているのは、この人間社会で共存する以上人も犬も同じ。そう遠くない将来に、いずれもが今より少しでも安心して暮らせる日々がまた戻って来るよう私は願い、その時はお医者さん達にもコロナに翻弄されない環境下で、人にも犬にも改めて力添えしていただければと思う。