カナダでペット保険に救われた犬とその飼い主の私

ペットを家族に迎え入れる上で、多くの飼い主が頭を悩ませるであろう問題、それがペット保険に加入するかどうかだ。

ペット保険は本当に必要なのか?

飼い主達はなぜ悩むのか。結局のところ、その保険料が果たして支払うに値するものかどうか半信半疑なのだ。

実際問題、カナダのペット保険は高い。

我が家には2匹の犬が居る(それぞれ「長女」と「次女」)。いずれもシェルターから引き取った雑種犬で、長女(3歳半)は現在25kgで適正体重、次女(1歳半)についても同じく25kgだが、あと5kgは増量するよう獣医に勧められている。

つまり、日本のスタンダードで言えば大型犬に属し、小型犬に比較して保険料も高めに設定されているのだとは思うが、毎月合計120カナダドル(現行のレートで約12000円)もの額を支払っている。これは日本の相場と比較して随分高いように感じられる。

決して小さくはない額だから、掛け捨てに終わる可能性がある保険に加入するぐらいなら、毎月ペット用にお金を積み立てた方がいいと判断する飼い主も相当数居るらしい。それはそれで合理的との言い方もできるのかも知れない。

beagle lying down

個人的結論:ペット保険は必要

ただ、ここで問題なのは、毎月どれだけの積立をすれば足りるのかということ。元々カナダの動物病院に於ける治療費は安くない。大怪我をした、大病を患った、そんな時の経済的負担に耐え得るだけの積立などそう簡単にできるものではないのが現実だ。

保険の掛け捨てを気にしたばかりに、いざという時になって治療費を支払うこともできずに、受けるべき治療を断念せざるを得ないなどという結果を招きかねない。どうしても払えない額という訳でもないのに、命と保険料を天秤にかける理由などどこにあるだろう。

逆に言えば、それぐらいの額でも毎月払うのが困難なのであれば、ペットを飼うという選択が適切であるのかどうか、実際に家族に迎える前によくよく考えた方がいいのではないだろうか。保険の加入より積立を選ぶ方がより合理的だと考えられるぐらいなら、経済状況に鑑みてペットを飼うのが合理的なのかどうかについてもきっと判断できるはずだ。

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selective focus photography of white and tan shih tzu puppy carrying by smiling woman

ペット保険に助けられた犬と飼い主の体験談

実を言えば、我が家も初めからペット保険に加入していた訳ではない。いつも頭の中にはあったものの、実際に加入したのは次女を迎え入れた後になってのことだった。1匹であれば万一の場合でもどうにかなるだけの経済的柔軟性を備えていても、さすがに2匹ともなれば事情は全く違って来る為に、その時点で保険への加入を決断した。

そして保険に頼る場面は、加入してまだ2ヶ月を過ぎたばかりの頃にやって来た。次女が股関節形成不全であると診断されたのだ。

股関節形成不全は大型犬に高い確率で発生する疾患で、特にロットワイラーの血を引いているとシェルターから言われていた次女については気をつけなければいけないと、飼ってすぐの時に調べて分かっていた。

また、幾つかのペット保険を比較していた際に、一部の犬種について股関節形成不全は適用対象外となる保険があることも知った。だからこそこの疾患にも適用される保険を選んで加入していたとは言え、それでもやはりまさかと感じたし、それと同時に、保険に入っておいて本当によかったと思わされたのだった。

long coated brown dog on wooden dock

ところが「まさか」は一度で終わらない。

股関節形成不全の診断過程でレントゲンを撮った時、腹部に大きな異物があるように見受けられるとの獣医の診断で、改めて詳細に渡って検査をしてもらったところ腎臓肥大が見つかり、その摘出手術を受けることを迫られてしまった。泣きっ面に蜂とはまさにこのことだ。

腎臓摘出手術にかかった費用は4100ドルだ。

これは当時のレートで約38万円。臓器を摘出するという大きな手術にしては割安に思えても、かと言って日頃から気軽にポンと出せるような額でもない。

しかしこの時私が実際に支払ったのは400ドル程(約3万7千円)。それだって9割を負担してくれる保険があったからこそだ。その後にはより多くの費用がかかる股関節形成不全の手術が待っていたことを思えば、2匹分合わせても月120ドルで済んでいるのは安いものだと感じられて来ないだろうか。

結果論だと言われるかも知れない。でも保険があったことで、「まさか」をただの「不運」で終わらせずに済んだのも事実なのだ。

photo of person standing beside dog on grass field

海外生活だから何事にも万全な準備が必要不可欠

長く海外に暮らす中で、何事にも準備が必要なのだと思い知らされる出来事を幾つも経験して来た。

「知らなかったから」などという言葉を自分の身の上で使うだけならまだしも、海外での自らの経験不足が原因でペットにまでその影響を蒙らせるようでは、初めから地元の勝手をよく知る現地人家族に飼ってもらった方がよかった、と誰かに言われても仕方あるまい。

ちなみに、現時点では必要無いと言われているが、もし今後改めて次女の股関節形成不全が手術を要すると診断された場合、

股関節全置換術には最低でも7000ドルはかかる。

もし保険に加入していなければ、毎月どれだけの額を積み立て、何ヶ月継続すれば、その費用を準備できるのだろう。考えただけでも恐ろしい。

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