シンガポール航空25便搭乗記 A380で世界を半周する

ニューヨークからシンガポールへの飛行機移動など、普通の日本人にはまるで縁が無さそうなものなのだが、それでも今回私は諸事情により一時帰国の一部にそのルートを組み込むことになった。

ニューヨーク発フランクフルト経由シンガポール行き

北米からヨーロッパを経由してアジアへと飛ぶなんて、そう聞いただけでも既に精神的に疲れてしまいそうなのだが、実際の所要時間も相当のものだ。

今回、私がまずニューヨークからフランクフルトまでに要したのが7時間半、フランクフルトで2時間待機後(要降機)、そこからシンガポールまで12時間かかった。つまりほぼまる1日を移動に費やしたことになる。

その詳細についてどうこう語るより先に、日本での滞在期間を終えたらまた同じようなルートでカナダに戻るのかと思うとゾッとするというのが正直なところ。

ニューヨークでは隔離状態で行列に並ばされた

ニューヨーク・ケネディ空港(JFK)発のシンガポール航空便はターミナル4でチェックインするのだが、出発の時間帯が近く、且つ同じチェックインカウンターを使うのがエルアル航空のテルアビブ便。しかし、エルアル航空便の乗客がいつ終わるとも分からない手続をしている間、私達シンガポール航空便の乗客は別に設定された区域に閉じ込められた状態で列に並ばされていた。

エルアル航空と言えば搭乗手続前のセキュリティチェックが厳しいことで有名で、エルアル便と他便の乗客を完全に隔絶する目的があってのことなのだとは思うが、まるで関係無いはずのこちらとしては堪ったものじゃない。

四十代の私ですら1時間以上も立ちっぱなしで待たされていれば疲れるのに、ご年配の人や小さな子供連れならもっと大変だっただろう。同じターミナル内の別のチェックインカウンターを使うなどの配慮はできないのだろうか?こちらはA380という超巨大な機材を使う分乗客の数も多いのだ。

ラウンジに期待し過ぎは禁物

長い行列に並ばされ、待たされ、どうにか漸くチェックインを済ませた後で、航空会社のラウンジで搭乗前の時間をゆっくりと過ごせるのは有り難いもの。ところが、JFKのターミナル4でスターアライアンスゴールドのステータス保持者が唯一使えるエアインディアのラウンジを訪れてみたところ、これがとても小さく、言葉は悪いがかなり貧相で、ラウンジと言って私が最も期待するシャワー設備も無い。

時間に余裕があり、ターミナル間の移動をも厭わないのであれば、搭乗券を入手後にターミナル1まで移動してルフトハンザ航空のラウンジを利用し、その後またターミナル4まで戻ることも可能ではある。ただ、JFKではエアサイド(制限区域内)でのターミナル間の移動が不可である為に、ラウンジ利用後には一旦ランドサイド(制限区域外)に戻ることを余儀無くされ、保安検査を繰り返し受けざるを得ないのがあまりにも面倒だ。

フランクフルト空港では降機必須

ニューヨークから約7時間のフライトを経て到着するフランクフルト(ドイツ)。そのままシンガポールへ向かう乗客であっても、到着前の機内アナウンスによれば「保安上の理由」により降機が必要なのだそうで、ここで暫し足腰を伸ばすことができる。

私のような喫煙者にとって、フランクフルト空港とは最近では珍しい楽園のようなところで、制限区域内に誰もが利用できる喫煙所があるだけではなく、ルフトハンザ航空のラウンジ内にも喫煙所があるという、日本の空港さながらの喫煙環境の良さがうれしい。

もちろん喫煙者でなくても、ここでの約2時間は軽く食事を取ったり、もしくは買い物をするのにも充分で(ちなみに私はご当地の超有名菓子であるハリボーグミの日本未発売のものを購入)、入国せずともドイツ、そしてヨーロッパを感じられる時間にもなる。

シンガポール航空の機内食には激しく幻滅

航空会社ランキングではいつだって必ず上位に名を連ねるシンガポール航空。ところが、これまでの利用経験からモノ言うならば、私はシンガポール航空のサービスがその他の航空会社と比べて特段いいと感じたことは無い。そして今回のフライトを経てもその印象が変わることは無かった。

特に食事についてはかなりの低レベルだと感じざるを得なかった理由は「ワンプレートミール」のようなその出来栄え。ひとつのアルミ製容器にメインと付け合わせ、主食(米か麺)が一緒くたに盛られただけ。別皿でサラダやフルーツが提供される訳でもなく、他にあったのはみすぼらしいパンが一つに一切れのバターとチーズ、それにヨーグルト。日系大手と比べると雲泥の差だ。

一点よかった点を挙げるならば、食後に配られたアイスだけは上出来で、日系某社では配られてそのままだとあまりに固過ぎ、暫く放置してからでないとまるでスプーンが通らないのと対照的に、シンガポール航空ではちょうどいい状態で提供されていた。

期待外れの機内エンターテインメント

機内エンターテインメントにしても全くの期待外れだった。日本語の字幕が配された映画は決して多くないし、日本語音声なり字幕なりで観られるのかどうかは個々の映画を選択してみるまで分からない。音声や字幕の言語を選択した上で観られる映画を表示してくれたら有難いのに、なんて思ってしまうがそれはさすがに高望みが過ぎるのだろうか。

結局のところ観てみたいと思うような作品もさほど見つからず、事前にiPadに映画をダウンロードしておいてよかったと胸を撫で下ろしたのだった。なんせ20時間を超えるフライト、それすら無くては寝て過ごすにも時間が有り余ってしまう。

実はプレミアムエコノミー利用がお得?

どこの航空会社でもそうなのかも知れないが、やはり最低でもビジネスクラスに乗らないと「いいサービス」を受けることはこれまで以上に難しくなって来ているように思われる。しかしビジネスクラスは途轍も無く高い。では、普通のエコノミーと比べて少しゆったりめのシートピッチがあり、その上幾らかは上質な食事を楽しめるプレミアムエコノミーなら検討の価値は無いだろうか?

確かにプレミアムエコノミーだって一般的には決して安いとは言えない。しかし、実はニューヨーク発のシンガポール航空、プレミアムエコノミーとエコノミーで料金に大差無かったり、どういう訳かプレミアムエコノミーの方が逆に安いケースを頻繁に見かけるのだ。

残念ながら私が予約を入れた際はやはりエコノミーがずっと安く、プレミアムエコノミーを利用する機会は無かった。それなら次回は、と言いたいところだが、そんな長距離路線にはもう乗りたくないのが正直なところでもある。

ニューヨークからフランクフルト間だけの利用もできる

シンガポール航空のニューヨーク発フランクフルト経由シンガポール行き、実はニューヨーク・フランクフルト間だけでの利用も可能になっている。どうしてもシンガポール航空を利用したいとか、アジアの航空会社の方が安心というのであれば、北米・ヨーロッパ間の移動にこの便を利用するのもありかも知れない。

ただ、私自身は今回利用してみても「なんだ、やっぱり結局はこんなものか」と改めて失望させられてしまったので、その評判ばかりを無闇に信じてシンガポール航空を選択するような理由は見当たらないように感じている。カナダのオンタリオ州ウィンザーに住む私なら、次にヨーロッパに出かける機会があれば、その時は素直にデトロイトからルフトハンザでフランクフルトに飛ぶだろう。もちろん値段が許容範囲内であれば。

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