機体のデザインは他の北米系航空会社と比べてスタイリッシュかもしれない(新塗装機については)。ところが、その他にもいい点を挙げようと思考を巡らせてみても結局何も思い浮かぶものが無い。
私に言わせればエアカナダはそんな航空会社だ。
欠航や遅延は当たり前
まず私自身の体験談の2つほど。
一度は成田からエドモントンへと戻った時の事。この時予約していたのは成田発モントリオール行き、そこからカナダ国内線に乗り継いでエドモントンに向かうルート。
まず成田のチェックインカウンターでモントリオール便に遅延が発生したことを伝えられ、それでは乗継便に間に合わなくなることから、急遽成田発バンクーバー行きのフライトに変更してもらい、バンクーバーからエドモントンへの便も同時に手配してもらった。まあここまではまだ順調だった。
問題はバンクーバー到着後。定刻に着いて、エドモントンへの国内線の搭乗まで充分余裕があると思いきや、何故かその便が欠航になったのを知らされる。次便は既に満席だったのか(それとも別の理由があったのか)手配してもらえず、更にその次の便にあてがわれる結果に。
長いフライトを経てようやくカナダに戻り、エドモントンまではあと1時間半の距離なのに、結局こうしてバンクーバーの空港で5時間以上待つ羽目になった。
もう一度はトロントからここウィンザーへと帰って来る時。
予約していたのはトロントからウィンザーに向かう朝一番の便。健気に早くに起きて、健気に早くに空港に到着して聞かされたのはキャンセルの一言。自動的に次便を手配され、また健気に空港内で時間を潰していた。
ところがその便までもがキャンセルになり、また一つ次の便へと変更されてしまった。それはもう午後発の便。朝から一体どれだけの時間を無駄にしているのか、と憤りを覚えたものの、私にできるのは次の便を待つことだけ。
しかし2度ある事は3度あるとはよく言ったもの。朝から3本連続でキャンセルを喰らい、次は当日のウィンザー行き最終便。席こそ確保されたものの、私にはその便を健気に待つ勇気は残されておらず、意を決して電車で移動することに。
ここはカナダだから電車だってもちろん遅れ、ウィンザーに到着した時には既に夜の12時を回っていた。
欠航や遅延の理由が伝えられないのも当たり前
欠航や遅延が発生するのに理由が無いなんて、現実には考えられないし、あり得ない。でもそれを然るべきかたちで伝えられなければ無いのと同じ。特に遅延については日常茶飯事と言って差し支えないぐらい発生するのに、大抵の場合で伝えられるのはその事実だけなのだからなかなかに不愉快だ。
「でもそれってコロナ禍の最中の出来事なんじゃないの?」などと質問があることを想定して先に答えておくと、前者にはコロナ禍前、後者にはコロナ禍中に遭遇している。
もしコロナ禍による人員不足が原因であったのなら、そのままを伝えればいいのであって、何の情報も提供しないから余計にネガティブな印象を与えてしまうのだし、実際にはコロナ以前から同じ状況なのだから全く救いようも無い。
当地ではこうした航空会社に起因するトラブルのニュースが頻繁にあり、その多くのケースで「全く情報提供が無かった」という乗客のコメントを目にする。残念なことにこれはエアカナダに限ったことではなく、カナダの航空各社のいずれにも言えることなのだが。
フレンドリーとガサツは紙一重?
北米系航空会社のサービスを形容するのにしばしば使われるのが「フレンドリー」という言葉。なかなかにいい響きだ。
でも実のところ根は結構ドライで、英語のコミュニケーションとしてはマニュアル通りとも言える決まり文句を並べているだけ、やっている事も相当いい加減。最低限のルールを守りつつ、基本は自分の好きなように生きるという態度を地で行く感じ。日系航空会社のような慇懃さが無く、それとは対照的に見えて来る自由奔放さとフランク加減を表現するのに、人々は「フレンドリー」という単語を使っているように思う。
それを「ガサツ」と表現したくなるのは、私がすれているからなのか、それとも素直でないからなのか。
コーラとジュースで悩んでいたらどっちもくれたとか、ギャレーにスナックを取りに行ったら両手にいっぱいもらえたとか、これらの類のことを「フレンドリー」と表現するのはおかしいし、それよりまず座っている人のわずか数センチ頭上で無遠慮に手を伸ばしたり、ギャレーで大声でおしゃべりしていたりするのをやめて、その他諸々も含め、もう少し他人に配慮しようとする心構えがあって欲しい。
他の選択肢を探し可能な限り利用を避ける
私がこれまでに経験して来た事などは氷山の一角で、同じ事、似た事は恐らく毎日のように発生しているだろう。だからこそ、そういったイレギュラーを伝えるニュース記事に残されたコメントを見ても、
「またエアカナダか・・・」
「エアカナダを使うからそういうことになる」
といった内容は決して少なくないし、私も同じ考えだ。
それでもエアカナダを使わざるを得ない状況があるのもまた事実で、特に日本を含む海外からカナダの中小規模の都市への移動となれば少なくとも1本は国内線を乗り継ぐ必要があり、その路線に就航している唯一の航空会社がエアカナダならばどうしようも無い。だから、
「他の選択肢がある限り、極力エアカナダの利用を避ける」
これこそが私の「処世術」であり、人様にもそのように勧めている。