カナダで犬と共に暮らすようになって暫くになると言うのに、これまでは1度たりともどこかに預けなければいけないようなシチュエーションにならなかったのは、もちろんその間をずっとコロナ禍の中で生活しなければなかったせいだ。ところがそのコロナ禍もようやく一段落し、去年の年末には航空券だけながらも手配済みであったメキシコへの旅が近付いて、我が家の2匹を私が不在中に預かってもらう場所を探さなければならなかった。
人口がたかだか20万とちょっとのオンタリオ州ウィンザーという町にも、犬を1日見てもらえたり (daycare) 、泊まりつきでより長い時間預かってもらえる (boarding) サービスを提供してくれるところはあるものの、やはり大都市のそれと比べると数が限られてしまうのは否めない。
そこでより多くの選択肢を与えてくれるのが、川を一本越えた向こうにあるアメリカデトロイトとその周辺地域。
ウィンザーに住んでいるとデトロイトは完全に生活圏の一部で、普段の食料品の買い出しはもちろんのこと、場合によっては動物病院であったり、今回のようにペットホテルを探すにあたっても選択肢に含まれて来る。
とは言え、正直なところ私の中ではカナダに対する信用の方が(わずかばかりでも)まだ勝っているものだから、特に大事な犬達を預ける場所は、できれば川を渡らずに済む範囲内で見つけたかったのがホンネだった。
それにもかかわらず、最終的にデトロイトでお願いしなければいけなかった理由は「長女」が他の犬と上手に遊べない点にある。以前は全く問題無かったはずが、1年程前にドッグパークで襲われてしまってから過敏に反応するようになってしまったのだ。
ペットホテルに預けると言っても、当然そこはただ寝るだけの場所ではなく、日中は部屋から出して遊ばせることになるのだけれど、大抵は group play、つまり複数の見ず知らずの犬同士を一緒に遊ばせる形式であり、それでは残念ながら我が家の長女には到底向いていない。
その上、多くの場所でまず1日体験入学(?)するように求められ、そこで条件を満たしていないと判断されると利用を断られてしまうという、実は結構高いハードルがあったりする。
ところが今回預かってもらった施設は、長女のようなケースの場合に、スタッフの人が単独で世話をし、遊び相手をしてくれるコースがあり、偶然にも我が家から至近距離にあるデトロイトのダウンタウンに位置しているというのだから、もうここでお願いする以上にいい選択肢があるとは思えなかった。
問題は高い料金。8泊9日でお願いしたところ、2匹分で合計900米ドル近くもかかってしまった。カナダドルにしたら1200ドル以上にもなり、完全に私の旅行費用より高くついた。
少なくとも私が記憶している限りでは、日本で犬を預かってもらった時にはここまでの額にはならなかったような気がするのだが、今回の旅行先がメキシコであり、マイルで取った航空券だったから、全体的な出費としてはまだ抑えられた方だ。これから旅に行く時は、ペットホテルでの費用をよりしっかりと考慮に入れた上で、その目的地や期間を決めなくてはいけなくなりそうだ。
では、サービスそのものの質についてはどうだっただろう?実はこの点についても疑問に感じている部分がある。
Group play については、そのプレイルームにカメラが設置されているおかげで、私はメキシコに居てもネットを通じてそこで遊ぶ犬達の様子を見ることができた。つまり次女に関しては、時に同じ毛色の犬が複数頭居るせいで見つけるのに苦労こそしたものの、それでも一応元気にしているのを見て取れたからまだ安心していた。
ただ、単独行動の長女は毎日決められたスケジュールでスタッフが遊び相手になってくれると聞かされているとは言え、実際にその様子を見られる訳では無く、これまでに海外で重ねた経験からも簡単に人を信用しない私だから、迎えに行く当日までずっと気になっていた。
すると案の定、久し振りに会った長女はすっかり喉がやられてしまっていて、喘息でも患ったかのような声しか出ない状態だったのだ。もしかすると環境に慣れずに吠えたり鳴いたりしていたのかも知れない。それならそれで説明さえしてくれれば分かるのに、スタッフはこの点についてまるで触れ無かったものだから、私としてはただ不信感ばかりが募る結果になってしまった。
ここは広いアメリカ大陸。カナダ国内はもちろん、陸続きのアメリカにも旅できる場所がまだいくらでもある。それならいっそのこと、これからは犬も伴って車で行ける場所をメインに探して旅するのもいいだろう。
ただ、日本に行かなければいけなくなったり、その他にも遠くに出かけなければいけない用事があった時のことも考えて、やはり安心して子供達を任せられるペットホテルは見つけておきたいもの。少しぐらい遠くても全然構わないから(1時間や2時間で行けるなら許容範囲内だ)、今後も引き続きリサーチをしなければと、どうにか喉の調子もよくなり、今は隣りでリラックスしている長女を横目に見ながら思っている。