滞在日数と移動範囲
スイストラベルパスやハーフフェアカードを購入するのか否か、その判断基準となるのがスイス国内での滞在日数と移動範囲(距離)。電車を利用する回数が多ければ多いほど購入するだけの価値があり、逆に利用する機会が少なかったり、短距離での移動ばかりであれば、購入しても元が取れない可能性が大きくなる。
今回、私はスイスに4日滞在し、その間はホテルをとったヴェンゲン(Wengen)を拠点にして動いていた。長距離での移動は初日のチューリッヒ空港からヴェンゲン間と最終日のヴェンゲンからバーゼル間の2回のみで、その他は基本的にヴェンゲン一帯での近距離移動に過ぎない。
滞在4日間での鉄道利用詳細
初日
チューリッヒ空港 〜 インターラーケン 〜 ラウターブルンネン 〜 ヴェンゲン / 52.00スイスフラン(セイバーデイパス利用)
2日目
ヴェンゲン 〜 ラウターブルンネン(往復)/ 13.60スイスフラン
3日目
ヴェンゲン 〜 メンリッヒェン(ロープウェイ片道)/ 20.00スイスフラン(ホテルより提供されたヴェンゲンビジターズカードの提示で23%の割引適用後)
ヴェンゲン 〜 ラウターブルンネン(往復)/ 13.60スイスフラン
最終日
ヴェンゲン 〜 ラウターブルンネン 〜 インターラーケン 〜 バーゼル / 43.40スイスフラン
もしスイストラベルパスやハーフフェアカードを購入していたら結果はどうなった?
以上のとおり、今回私が鉄道を利用して発生した費用の総額は142.60スイスフラン。
ヴェンゲンからラウターブルンネンのように、たかだか10分ちょっとの移動でも日本円にして1100円(片道)もかかっているのを見ると、スイストラベルパスやハーフフェアカードを購入した方がいいのではないかという考えに陥ってしまいそうになる。
ところが、トラベルパスにせよ、ハーフフェアカードにせよ、実際にはその購入にも決して安くはない費用が発生する。
例えば、4日間有効のスイストラベルパスは281.00スイスフランであり、もし購入していたらただの無駄になるどころか逆に大損をするだけだった。
それは120.00スイスフランに設定されたハーフフェアカード(1ヶ月有効)にしても同じことで、いくら一回一回の料金が半額になったところで、カードそのものの購入にこれだけの出費がある以上、少なくとも今回の私の例ではやはり無駄以外の何物でもなかった。
スイストラベルパスもハーフフェアカードも買わなかった理由
私も当初こそは悩みながらも、最終的にはスイストラベルパスもハーフフェアカードも買わないと決めたのにはいくつかの理由があった。
ー 短い滞在期間
今回私がスイスに滞在したのは計4日間。初日と最終日は半日ずつだったのを合わせて1日と計算し、中3日だけが1日を丸々使えるという日程だった。
確かに3日間や4日間有効のスイストラベルパスというのは存在するものの、それだけの短い期間に元を取ろうと思えば、長距離移動を繰り返したり、そうでなくても相当アクティブに動かざるを得なくなる。七十代の両親を連れていたということを抜きにして考えてもそれでは流石にあまりにも忙し過ぎる。
ー スイスを旅する理由を改めて考えた
スイスには確かに見どころも多く、どれもこれも見て回ろうと言うのであれば、4日間という短い滞在期間であってもそんなスケジュールを組むことはできただろう。
ただそれでは都市部にある観光名所を巡るツアーと何も変わらない。私の両親も、そして私も、スイスでそんな旅がしたい訳ではなかった。美しい自然に囲まれてのんびりし、気持ちよくハイキングを楽しむ為にスイスを選んだのだ。そしてそれを実現するのに移動ばかりを重ねる理由など無く、従ってトラベルパスもハーフフェアカードも必要無かったことになる。
早割を活用して出費を抑える
スイスを旅するのは元々かなりの出費を見込まないといけない。その上世界的に人気の目的地でもあり、特に夏ともなれば多くの観光客が訪れる。だからこそ早めに予定を立てて、宿泊地も移動手段も早々に手配してしまった方が安心だし、そうすることで結果的にコストダウンにも繋がりやすい。
例えば、今回私もスイス到着当日に利用した SBB(スイス国鉄)のセイバーデイパス(1日乗り放題切符)は6ヶ月前から購入が可能となっていて、早めに買えば最安値の52.00スイスフランで入手できるところ、前日購入だとその倍以上の価格になることもある。
現地での動きやすさばかりを重視して購入したトラベルパスやハーフフェアカードが手元にあるばかりに、どうにか元を取ろうと考えたり、または下手に欲張って動き過ぎてしまったのではもったいない。事前に何も手配せずに行く旅で感じる自由もあれば、ある程度の計画性を持って行くことで得られる自由もある。今回の私のケースに於いては後者を選んで正解だったし、もし今後また同じような日数でスイスを旅する機会があっても同じ選択をするだろうと思う。