カナダで飼い犬が急病に罹ったらどうしよう?

人が救急医療を必要とすれば当然救急車を呼ぶし、24時間対応してくれる病院があるのは当たり前だと誰もが思っている。

でも、もしそれが人ではなく、一緒に暮らす犬や猫の場合だったらどうだろう?

決して少なくないカナダのペット飼育頭数

Canadian Animal Health Institute の統計に拠れば、2020年の時点に於いて、カナダ全土で770万頭の犬と、810万頭の猫がペットとして飼育されているらしい。

この数を日本の一般社団法人ペットフード協会が実施している全国犬猫飼育実態調査の結果と照らし合わせてみると、2022年に日本全国で飼育されている犬が705万頭、猫については884万頭であるということだから、両国間の人口比(カナダの人口は日本の3分の1程度)を含めて考えれば、カナダでは犬や猫を飼う家庭の割合が高いことが見てとれる。

カナダでは24時間対応の動物病院が絶望的に少ない現実

それだけ多くの犬や猫が飼育されていながら、カナダでは24時間体制で救急対応可能な動物病院があまりにも少ない。

無論、カナダ最大の都市であるトロント一帯であれば一定数の選択肢があるのだろうが、私が住むオンタリオ州ウィンザー(人口約23万)で24時間診てもらえる動物病院は1か所のみ。同じカナダ国内で別に病院を探すともなれば、遠く離れたロンドンまで車を2時間走らせて行くしか無いだろう。

そのような状況だから、ウィンザーにある唯一の病院にはウィンザー市内のみならず、その周辺地域からも緊急医療を求める動物がひっきりなしにやって来る。

急患の待ち時間が長いのは人も動物も同じ

地域で唯一の時間外対応が可能な病院ともなれば当然忙しいだけでなく、病院に到着した順番で診てもらえる訳ではない。飼い主がどれだけ心配していようとも、病院のスタッフによるトリアージで対応の優先順位が決定され、ひどい時には明け方まで待っても対応してもらえないかも知れない。

そして私が先日見かけたニュースでは、そのウィンザーの病院での対応遅れが直接的か間接的かの原因となり、命を落とす結果となってしまった犬について報道していた。

このケースでは恐らくトリアージでの判断に問題があったようなのだが、医療従事者でもない飼い主がその判断に口を挟む余地など残されておらず、ただ言われたままに待つ以外どうすることもできなかったのだろう。それでも1時間や2時間の待ち時間ならまだ間に合ったかも知れないのに、一晩中待たされたのでは結果は全く違ったものになってしまう。

日頃からペットの観察を欠かさず、緊急時の為に多くの選択肢を用意しておく

救急対応が可能な動物病院が少ない現状を飼い主が変えることもできない以上、そのような状況下でどのように対処するのかについては前もっての準備が欠かせない。

命を預かっている以上ペットの健康状態には常に気を配るのは当たり前にしても、何らかの異常を発見した際に、それがあくまで一時的なものなのか、それとも早急な対応を要するものなのかをある程度は判断できるぐらい、日頃から特に注意深く観察する必要があるように思う。

時間外で対応してもらえる動物病院にしても、1ヶ所知っていればそれでもう安心ではなく、万一を考慮して次の選択肢を用意しておくことも大切。ここウィンザーなら、前述の病院が最も近い場所であるとは言え、どうしても対応に時間を要しそうであると見込まれる場合、アメリカで別に病院を見つけておけばすぐに連絡も取れるし、実際にペットを連れて行くのに大して時間もかからず、ウィンザーの病院で待つより逆に早く診てもらえる可能性もある。

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カナダでペットと一緒に送る生活

これまで何年か犬と一緒のカナダ生活を送ってみて、その環境は決して悪くないというのが私個人なりの感想。自由に遊ばせてあげられるドッグパークが数多くあり、車で旅に出かけても、犬と一緒に泊まれるホテルだって比較的簡単に見つけられる。

ただ同時に、ペットの医療事情については、医療費然り、病院探しに然り、ハードルは日本と比べて幾分高いようにも思う。高額な医療費から自身を守る為に保険に入れば保険料も発生するし(それにもかかわらず必ずいつも使えるという訳ではない)、大きな病気や怪我に近隣の動物病院が対処できないようなことだってある(実際私は股関節形成不全の診断を受けた我が家の犬をアメリカに連れて行った)。

今後またカナダ国内で引越をしなければいけない事態になった時にも、人間の事情ばかりではなく、犬の事情と犬を取り巻く環境の良し悪しについても充分考慮に入れて、新たな地での生活の可否を判断しなければいけないと感じている。

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