カナダの市民権を取得したから早速パスポートを申請してみた

海外に出るには当然のことパスポートが要る。

今回カナダの市民権を取得し、自動的に日本国籍を喪失した結果として、手元にある日本のパスポートも使えなくなってしまった以上、一刻も早くカナダのパスポートを入手しなくてはならない。

カナダのパスポートを取得するのは結構面倒だ

これまで日本のパスポートしか持ったことが無い私にとって、パスポートの申請が面倒であるという認識はまるで無かった。もちろん、それでもネット上で申請ができる訳ではなく、日本国内ならパスポートセンター、海外であれば在外公館まで足を運ぶ必要があったりするけれど、申請書を記入し、顔写真と料金さえ用意すれば済むことだ。

ところがカナダの事情は日本のそれとはかなり異なる。何が違うって、

カナダのパスポートを申請するには、まず「保証人」になってくれる人を見つけなくてはいけない。未成年者だけではない。成人が申請する場合でも同じだ。

市民権を申請した時に、あれやこれやと求められた書類だってきれいに揃えて提出しているのに、この国はパスポートの申請ごときに保証人まで必要になるのかと、私も正直なところちょっとうんざりさせられた。一体何の為の保証人なのか?

これも申請する時点で知ったとしたらきっと吐き気さえ催したかとも思ってしまうが、実際には市民権さえ取れていない段階で既に把握していたし、根っからのカナダ人でさえこの条件は変わらないと言うのだから、パスポートが欲しけりゃとにかく黙ってそのとおりにしろと、まあつまりそういうことなのだろう。

Reference と Guarantor

日本語で「保証人」と説明してしまうと必ずしも正しくはないのだろうが、カナダのパスポートを申請する際には、

– 新規の申請で Reference(2名)と Guarantor(1名)の両方

– 更新時には Reference(2名)のみ

がそれぞれに必要となる。

ただ面倒であるというだけではなく、事前にこうした「保証人」になってもらえる人を探して、お願いをしておかなければいけないのは、私のような移民にとってそう簡単なことではない。

誰が Reference や Guarantor になれるのかについては、双方で共通するものとして、18歳以上であること、知り合って2年以上が経過していることといった点がある。

逆に相違点として挙げられるのは、家族(親類や義理の家族を含む)は Reference として認められない点と、カナダのパスポートを所有するカナダ国民のみが Guarantor になれる点。

もう一つ注意が必要なのは、同じ人物が Guarantor と Reference を兼任することはできないことで、新規でパスポートを申請する際には、Reference 2人と Guarantor 1人、つまり計3人の「保証人」を見つけなくてはならない。

私達移民にとって恐らくより見つけやすいのは Reference で、それは何故かと言えば、カナダ人でなくてもいいというのがポイント。

いくらカナダ人がフレンドリーと言われようと、やはり言葉の壁を完全に取り払って付き合える(付き合ってくれる)ような人はそうそう見つかるものではないし、中途半端に知っているだけの場合、「保証人」になってなどと気安く言えるものでもない。Reference は幸い国籍を問われないから、私がお願いした2人ともやはりカナダ人ではなかった。

Guarantor については頼める人など居ないと潔く諦め、移民局のサイトにもあるように、別途定められたフォームを記入し、公証人にサインをもらうことで対応した。当然費用はかかるが(今回の私のケースでは50ドル)、今後の更新時には必要無いし、一度ばかりの出費と思って割り切った。

パスポートの発給に1ヶ月以上?

コロナ禍が私達の生活に及ぼした影響は小さくなく、旅行に関することで言えば、スタッフ不足による空港の大混乱はもちろん、パスポートの発給に通常ではとても有り得ないような時間を要するようになっているのもその一つだ。

一時期、特にトロントとその近郊ともなれば、パスポートオフィスには早朝から何百メートルという長蛇の列ができて、その後どうにか申請できたとしても、実際に発給されるまでの待ち時間があまりに長く、結局は旅行をキャンセルする羽目になった人が続出しているとニュースにもなった程。

現在私が住むウィンザーは、人口が約23万人と大きくも小さくもなく、それでいて一応パスポートオフィスが設置されるぐらいの規模を持つ都市。100km圏内には別に名の上がるような町は皆無という好条件のおまけも付いているから、トロントとは違って多くの人がパスポートの申請に押し寄せるようなことはきっと無い。

ちなみに、カナダでパスポートを申請する場合、パスポートオフィス以外にも「サービスカナダ(カナダ政府の窓口的機関)」でも申請ができるし、申請書類を郵送する方法でも可能。ただ、パスポート関連業務のみを扱うパスポートオフィスで申請するのが最も手っ取り早く、郵送での申請で必然的に発生するような余計な時間や費用とも当然無縁だ。

そんなウィンザーでの申請にもかかわらず、実際には今回私はパスポートオフィスで結構待たされた。予約を入れたくても全く空きが無く、ウォークインで訪ねたせいもあって、番号が呼ばれるまでに2時間程は待っただろうか。それでも申請に必要となる書類などはしっかりと準備もしていたし、順番さえ回って来ればあとは早いものだった。

2週間後に予定しているメキシコへの旅に間に合わせる為、10年有効のパスポート申請料金160ドルにプラスして、50ドルの早期発給手数料が必要とはなってしまったのだが、少なくとも早期発給のリクエストが通るようになっただけありがたいと思わなければいけないし、この場合、通常なら郵送されて来るはずのパスポートを、パスポートオフィスに自ら出向いて受領できるメリットのおまけも付いて来るから、安心料として支払ったと思えばまあ悪くはない。何しろ初めての申請で勉強にもなったし、カナダ人としての経験値だって少しは上がった。その学費と捉えるならば安いものだ。

あとは、パスポートを受領するその日を楽しみに待とうと思う。

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