日本国籍喪失後の日本の運転免許証 名前はそのままで使える?

日本国籍喪失前に取得した日本の運転免許証。国籍喪失後も引き続き使えることが分かったのはいいものの、元の漢字名での表記のままでいいのだろうか?

カナダ国籍になって間も無かった去年(2022年)の秋、まだ日本国籍時代に取得し20年以上使い続けて来た日本の運転免許はどうなってしまうのかと、実家がある山梨の県警に連絡し、幾度かのやり取りを経て、その免許は今後も引き続き効力を発揮すると確認して頂いたまではよかった。

ところがその際に聞きそびれてしまったことがある。免許証に表記された私の氏名が漢字名のままでいいのかどうかという点だ。

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私のケースでは国籍こそ日本からカナダへと変更になったとは言え、名前そのものに変更は無い。ただ、国籍上日本人ではなくなったことで、私の名前を表記するにあたり唯一正式な方法はアルファベット、つまりローマ字を使ったものとなり、これまでの漢字表記ではなくなってしまった。

もし日本に在住していて、日本に住民登録があり、且つ通名登録などができるのであれば、もしかすると本来の漢字名での表記を残すことも可能なのかも知れない。しかし、現状私はカナダに在住し、日本に入国する際にも90日間を上限とする「短期滞在」を許可された外国人に過ぎないから、当然そのような登録をするのは無理だ。

では実際のところ変更は必要なのか?

山梨の田舎では車無しにはどこにも行けないこともあり、月末に迫った帰国前にはっきりさせておくべく、改めて山梨県警にメールで問い合わせてみた。

すると、前回と同様に今回もまたすぐに返信を頂けた(山梨県警、本当にすばらしい)。

その答えはこうだ。

「外国籍に移された方であっても、運転免許証の氏名表記(漢字からローマ字等)の変更は不要です。日本の運転免許証は、あくまで日本国内で運転するための許可証ですので、記載内容に明らかな虚偽がなければ問題ありません。」

そういうことらしい。

今回の返信メールを頂けたことで、日本国籍喪失後の日本国内での運転に関して私が抱いていた懸念も全て晴れた。

日本で発行された運転免許証を引き続き使うことができる。

免許証の氏名変更の必要は無し。

実家でかけている自動車保険は、外国籍の私が運転する際にも有効である。

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それでも、長い長い海外生活ですっかり疑い深くなった私は、これまでに山梨県警、そして保険会社との間で交わされたメールとチャット画面でのやり取りも当然ながら全て保存してある。

ネット上でこれらの疑問に対する答えをいくら探しても見つからなかったぐらいだから、恐らくは警察や保険会社にとっても滅多にされない質問であって、有り難く頂戴した答えとは言えども、間違いなどあり得ないと100%信じ切ることもできない。万一の事態に遭遇した際に自分を守る為には、結局のところ証拠が必要不可欠なのだ。

まあひとまずは、また安心して日本国内を運転できそうだ。

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