北米からの一時帰国に別切り航空券を購入しなければいけなかった理由

航空券はいつでも全行程を「通し」で購入するのが最も安全、安心であるのは言うまでも無いのだが、どうしても「バラ」で買わざるを得ない場合がある。

カナダのオンタリオ州・ウィンザー在住の私にとって、最も近い国際空港と言えば同州内にあるトロントピアソン空港ではなく、対岸アメリカはミシガン州のデトロイト空港になる。前者までは車で最低でも4時間はかかるところ、後者なら早ければ30分程で到着できてしまうのだから、どちらが便利なのかは言うまでも無いだろう。

そんなデトロイト空港。デルタ航空のハブ空港の一つであり、羽田まで毎日直行便を飛ばしてもいて、乗り継ぎ無しに一時帰国できるのだからとてもありがたい。

でもその直行便を使う機会はあまり無い。何故か?

デルタ航空デトロイト〜羽田便のおかしな価格設定

一般的には直行便を利用すると他の乗継便と比べて高くなることが多い。特に長距離国際線ではその傾向が顕著に現れやすい。

それがデトロイトと日本の間を結ぶ唯一の直行便ともなれば、他の選択肢より少しぐらい価格設定が高くなってしまっても仕方が無いだろうとは思う。

ところがこのデルタ航空便、オフシーズンに限っては他社が提供する乗継便の料金をも下回る額で販売されている。

既に他の誰よりも利便性が高いという強みを持ちながら、なおも価格まで最安値で設定してしまったら、当然ながら大半の人はデルタを選ぶことになるのだろう(マイル云々を考慮しないのであれば)。

ただ問題はピークシーズン。これがまたべらぼうに高い。

それもどういう訳なのか、日本から出発する分には普通なのに、デトロイトからで購入しようとすると高過ぎてとても手が出ない。

日本人が一時帰国を計画する時期と言えば、やはり年末年始であったり、子供が居る家庭なら夏休みであったりで、その他の時期に帰国を予定できるような人はあまり居ないのではないか(だからこそピークシーズンと呼ぶのだが)。

試しに今年の12月下旬(クリスマス後)にデトロイトから出発し、新年の三が日を過ぎた頃に羽田から戻るスケジュールで調べてみたところ、エコノミークラスですら3400米ドルもするらしい。羽田までの片道ですら1800米ドル。

それが全く同じ日程で逆方向(羽田〜デトロイト〜羽田)の移動になるとたったの920米ドルで往復できる。流石にこの価格設定はおかしいとしか思えない。

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他社の乗継便も価格設定がおかしい

一時帰国にいつでも直行便を利用できる訳ではない。確かにデトロイトからは羽田便があっても、前述のようにとんでもない価格になる時期もあるし、また、直行便の無い空港からの帰国で、どうしても飛行機を乗り継がなければならないなんて人も少なくないはず。

私の場合、ここでは前者のシチュエーションになるが、最近日本への片道航空券を手配した際に、ある航空会社によるおかしな価格設定を見つけてしまった。それがこちらもまた米系大手であるユナイテッド航空。

ここで、今から1ヶ月後にデトロイトからシカゴを経由して羽田へと飛ぶルートで値段を調べてみると、デトロイトから羽田まで通しで購入した場合の金額は2887カナダドルと表示されたのに対し、デトロイトからシカゴ、シカゴから羽田と別々で購入すればそれぞれ119カナダドル、1252カナダドルで合計してもたったの1371カナダドル。

つまり「別切り」の方法で購入することにより、通しで買った場合の半額以下に収まってしまうということだ。

「別切り」航空券を購入することのデメリット

今回のユナイテッド航空のケースについては、あくまでもデトロイト〜シカゴ〜羽田というルートを片道で買う場合の話で、もしこれを往復で購入するのであれば、デトロイトから通しで買っても値段が跳ね上がるようなことは無かった。

ただ、急な帰国の必要に迫られていつ戻れるのかも分からない時や、留学を終えて本帰国する時など、片道で買わざるを得ない状況も当然ある。そんな時の為にこのような航空券の買い方もあるのを知っておけば困らずに済むかも知れない。

とは言え、「別切り」には購入者に不安をもたらすデメリットももれなく付いて来る。第一に挙げるべきは乗継の保証がされない点だ。

それがどういうことかと言うと、通しで購入してさえいれば、例えデトロイトからシカゴへ向かう便に遅延や欠航が発生し、結果シカゴで羽田便に乗り継げなかったとしても、航空会社が必ず別便による羽田までの移動を確保してくれるところ、「別切り」はそれぞれが完全に独立した予約であり、基本的には「時間に間に合わなかったあなたが悪い」と言われて終了。とても残酷なのだ。

受託手荷物の個数(重量)制限も、「別切り」の航空券を手配するなら留意しておきたい点。

今回のようにデトロイトからシカゴ、シカゴから羽田と「別切り」で手配してしまうと、前述のようにそれぞれが独立した予約の扱いとなり、デトロイト〜シカゴ便に於ける受託手荷物の個数(重量)制限は国内線の基準、シカゴから羽田への便では国際線の基準と、それぞれに異なるルールが適用される(大抵は国際線でより多くの荷物を預けられる)。

通しで予約してさえいれば、国内線から国際線、あるいはその逆での乗り継ぎであっても、受託手荷物は国際線の基準が採用されるところ、別切りにしてしまったことで荷物を減らすか、別途料金を支払って預けることを選択しなくてはいけなくなる(初めから預ける荷物なんか無いから大丈夫、という人を除いて)。

「別切り」で計画を立てる以上はイレギュラーに臨機応変に対応できる余裕が無くてはならないし、逆に言えば、リスクの高さを更に上回るバリューの高さが無ければ、もう初めから「別切り」などはしない方がいい。

それでも私が「別切り」航空券を購入した経緯と理由

今回私が日本に行くのに片道の航空券を買わなくてはいけなかったのは、北米〜日本〜ヨーロッパ〜北米というルートで移動をする旅の計画を立てていた為。

日本到着の翌日朝にはまたすぐヨーロッパへと旅立つ必要があり、疲れを最小限にする為にもデトロイトから直行便で日本入りしたいのはやまやまだったが、8月末で人の流れも少なくはないシーズンであるせいか、その3ヶ月半前に予約を入れようとしても普段なら往復航空券を購入できるぐらいの金額が表示されて、あっさりと諦める他無かった。デルタ→ボツ

直行便が使えないとなればどこかで乗り継ぐ必要があり、デトロイト発の場合では、エアカナダでトロント、もしくはモントリオールを経由するのが安く(それもユナイテッドとは違って通しで購入しても安いまま)、時間のロスも少なくて済む。しかし個人的にエアカナダに対しては不信感しか無く、どうしても使いたくなかった。エアカナダ→ボツ

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結果、前述したようなカラクリでユナイテッド航空の比較的安い片道航空券を購入することに相成った。

エアカナダへの憎さが何にも勝り、ユナイテッドの「別切り」というリスクを犯す。とても賢明とは言えない。もしこれで乗り継ぎに失敗なんて事態に陥ったらどうするのか。

普通ならそう思うのだろうし、まあ確かに賢明ではない。しかしこれまでにも何度か「別切り」で買っても問題無く乗り継げたのも私の経験談。通しで買っても結局は乗り継ぎ便が度重なる欠航という憂き目に遭い、終いには電車を利用するのを余儀なくされたのもまた私の経験談(エアカナダ)。それなら後者より前者を取るのだって愚鈍と言うほどでもない。

ユナイテッドにしても信用に値する航空会社とは言い難いのは問題だが、既に購入してしまった以上は最後の結果がモノを言うのを待つだけ。どうか順調に行きますように。

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