口で言うだけなら簡単な「オンタリオ州まで新居探しの旅」

カナダに移住して5年半、これまで3回の引越を経験し、3つの異なる州(ケベック州、ニューブランズウィック州、アルバータ州)で生活して来た。アルバータに来てからはようやく肌に合う場所に巡り合ったような気がして、とうとう家も買ってこの地で長く暮らして行く心づもりだったはずだった。

ところが、まさに私自身が過去20年以上に渡って証明して来たように、どんな計画にも不確実性は確実に残されていて、結局今回もまたそんな理論にデータを提供する形になってしまった。正直に言えば不本意なのだが、いっそのこと自分が「遊牧民の末裔」とか「引越マニア」であると認めてしまった方がいいのかも知れない。時に周りの仲間達がそうやって私をからかうように。

勝手を知らぬ土地でまた新たに生活を構築しようとするのだから、引越後に待つ面倒こそ数限り無いのだと分かっていても、実際には引越に至るまでの前段階でも既に面倒なことだらけで相当ストレスが溜まる。それが州を跨ぐともなれば尚更で、中でも新居探しは肉体的にも精神的にも負荷がかかる作業になる。

題名にもあるように今回の引越先はカナダ東部のオンタリオ州。西部に位置するここアルバータ州からは間にサスカチュワン、マニトバ両州を挟んだその向こうにある場所だから当然近くはない。

オンタリオと言えば誰もがカナダ最大の都市であるトロントを思い浮かべ、ちょっとばかりひねくれた人でも首都のオタワを挙げるぐらいなのに、そのどちらでもなく、どちらからも遠い町に越して行こうとする私は変人扱いされても仕方の無いレベル。それは幾分言い過ぎかも知れないが、とにかくアルバータからそんな町に部屋を探しに行くのは本当に大変なのだ。

遠い町で部屋を探す際に大変なのは何も移動に限ったことではない。飛行機で4時間、更にレンタカーで4時間かかってようやく辿り着くような場所だから、実際に私がそこまで足を伸ばせるのは最終的な内覧の段階に入った時だけ。つまりどこが入居者を募集しているのかはネット上に掲載された情報だけが頼りで、家やアパートの前に貼り出された広告を見て直接電話連絡するようなことは私にはできない。

そんな理由もあって、今回私がオンタリオに赴く前までに内覧の約束を取り付けられたのはわずか3か所に過ぎず、そんなに時間(とお金)をかけて行くのに、もし気に入る部屋が無かったらどうしようかと不安だった。

出かけたのは先々週の金曜日。朝3時半に起きて乗ったのは6時のフライト。それでもトロント空港でレンタカーを借り、途中に休憩を挟みつつ5時間以上運転してやっと目的地の町外れに位置するホテルに到着したのは夕方の6時過ぎ。この時節、6時にもなれば町は闇に包まれる寸前だ。1日かけての移動で私もすっかりくたくたになった。

そこには一体どのような街並が広がっているのか、そして翌日からの部屋探しが成功裏に終わるのか、この時点で私はまだ知る由も無い。何かに期待するだけの余力は残しておらず、荷物を下ろしてベッドに横になると、知らぬ間に眠りについてしまったようだ。

「オンタリオ州まで3泊4日新居探しの旅で収穫はあったのか?」へつづく

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