コロナ禍の中カナダの移民向け語学クラスで学ぶ

私の住む州では最近になって小中学生に限って学校での対面授業が再開した。とは言え、その他大半の「学校」と呼ばれる場所ではオンライン形式で授業を進行しているのが現状だ。

それはもちろん移民向けに提供されている語学クラスでも同じ事。特にこういった語学を学ぶ授業は教室で先生やクラスメートと向かい合ってできるのが望ましいのだけれども、今のような状況下でそんな事は叶うはずも無く、学校も、教師も、生徒も、皆一様に柔軟に対応せざるを得ない。

私自身はオンラインで授業を受けるのは初めてで新鮮味を覚えているものの、この形式で授業が行われる事で不便に感じる人も居るようだ。例えば家にパソコンが無い為にタブレットやスマートフォンに頼らざるを得なかったり、パソコンがあっても授業で使われるシステムの操作方法が理解できなかったりする学生が居る。

今のこの時代に日本でパソコンが無い、或いはパソコンが使えないなどと言えば、当たり前のように驚かれたり、それがあまりに不可解だという反応を見せられるのかも知れない。でもここには内乱の影響や、迫害を受けたのを理由に母国を離れる事を迫られ、結果難民としてこの国へと受け入れられた人達も居る。元々高学歴で仕事にも恵まれていたのであれば話は別でも、そうでない人には英語の勉強以前に解決しなくてはいけない問題が多く存在している。

私はそういった事情を知るのも含めて新鮮に感じていても、本人達はそれが原因で授業への参加を諦めなくてはいけない場合もあったり、コロナが人々に与えている影響は決して小さくないのだと改めて考えさせられた。

私にとっても全く不便が無いかと言ったらそうではなくて、本来の対面形式による授業なら1クラスの人数も少なく抑えられそうなのに、オンラインでの授業ともなると30人とか40人とかが集まる場合もあり、授業内外を問わず対先生、対クラスメートのより直接的なコミュニケーションが不足しがちなのは難点だ。

以前まだケベック州に暮らしていた時に通った移民向けのフランス語クラスだと、フルタイム、パートタイムのいずれに於いても、1クラスの人数は15人程度だった。全ての学生に先生の目が届き、学生1人1人に発言の機会を確保する為には、実際にそれぐらいの人数がちょうどよかったという印象がある。

それでも、こんな難しい状況の中で変わらず授業を開いてもらえているだけでも充分に有り難く、与えて頂いているこの機会と環境でどれだけの成果を上げられるのかは結局のところ自分次第だ。

それにしても思うのは、トロントでもバンクーバーでもない内陸の一都市で、移民向けに開設された語学コースの中の1クラスにしか過ぎないのに、100人近い学生が在籍しているのはいかにもカナダらしい。

先に30人とか40人が授業に参加すると書いたのも、実は同じ内容の授業を異なる時間帯に3回行う事でようやく学生を分散できているのであって(学生はその時の都合に合わせて選べる)、偶然1つの時間帯に多くの学生が集まったりするような時があれば、その時こそ40人どころでは済まないのかも知れない。

そんな大所帯だから、普段ここで生活していてまずお目にかからない日本人も、私を含めるとなんと4人も居るようだ。確かに田舎町と呼ぶ程の田舎町ではないし、きっとどこかには住んでいるのだろうとは思いながらも、子供もおらず、日本人の友人が1人も居ない私には、子供を通じて知り合う機会も、「友達の友達は友達」的に繋がる機会も無いから、それは結構真面目に驚いた。

そして奇遇にも、私の先生は日本に13年も滞在した経験をお持ちで、且つ奥様も日本人の方でおられるとの事。縁というのはつくづく面白いものだと思う。

今回こうして語学クラスに通うと決めたのも、カナダの市民権申請を考えての事(別文:日本国籍を失ってでもカナダの市民権を申請すると決めた理由)。そんな理由があればこそ、コロナだろうと何だろうと構わず、語学を上達させるには歳を幾らか重ね過ぎている感があるのも無視して、ただ前だけを向いて取り組めている。

このクラスにしても国が無料で受けさせてくれているもので、永住権を持っている間にしか入れないものでもあるから、その権利は今の内に無駄なく享受して、結果をモノにして、市民権を取得できたあかつきには、ここで少しは鍛えられた英語も使いながら自分にも果たせる社会貢献をできるように準備して行きたい。

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