覚えておきたい在外邦人ならではの特権 日本で楽しむ免税ショッピング

日本に一時帰国する度に思うこと。この国には食料品から雑貨まで魅力的なアイテムが勢揃い。そしてなぜか価格は以前と比べて下がり気味。決して物価が安くないカナダに暮らす私にとって、良質なものが、比較的安価に入手できる日本はまさにショッピングパラダイスだ。

ちなみに只今絶賛円安中

ウクライナ情勢を初めとして、世界を取り巻く状況が不安定さを増す中、なぜか今(2022年5月)日本円だけがその価値を下げに下げまくっている。コロナ禍での規制が緩和され始めた結果、より多くの日本人が海外旅行に出かけるようになってはいるが、旅先での物価が想像以上に高くなっている上に、円安が出費の増加に拍車をかけていると嘆く人々がニュースで度々映し出されている。

そんな人達を見ていてどこか申し訳無く感じるぐらいの良心をまだ少しばかり残してはいるものの、正直に言えば、この状況は私にとって逆に好都合でもあるのだ。

免税ショッピングは空港内に限らない

さて、免税ショッピングと言ってまず思い浮かべるのは空港の免税店。出国手続を済ませた後のフロアにあって、酒やタバコに香水、或いは高級ブランド品など大体決まったものが揃っている。

ところが私のように海外在住の日本人が、久々の一時帰国の際に日本で買いたいと特に切実に思うのはそういうものではない。では私個人が何を欲しいのかと言えば、北米各地に店舗があっても日本で購入した方が安いユニクロの服だとか、北米で作ろうとすると何かと面倒な眼鏡だったりする。

そのような買い物を、空港外の、町中の普通の店舗でも免税扱いにしてもらえるケースがあるとは聞いていた。外国人観光客や、海外在住の日本人だけが対象となるこのサービスだが、海外に暮らして27年、私はこれまでに利用したことが無かったから、いつからそんなことができるようになっていたのかも知らないし、もしかすると結構損をしていたのだろうか。

眼鏡を免税扱いで購入したら2000円も得をした

気づかなかった理由は、元々日本のお店はそこに暮らす人々をメインの顧客にサービスを展開しているのだから、わざわざ店頭で免税サービスについて大々的に宣伝したりしていない点にある。観光客目線で日本を見る外国人なら色々と知っているのかも知れないのだが、私にとって日本はあくまで日本人として勝手知ったる場所であり、まさか町中で免税品を購入できるなどと思いも寄らないのだ。

ところが今回の帰国中、実家の近所にも店舗を構える眼鏡チェーン店(Zoff)のウェブサイトをチェックしていた時、その店舗の営業時間の案内のすぐそばに「免税対応可」の文字を見つけた(店舗検索で「TAX FREE」の表記がある店舗でのみ可能)。そうして初めて、「そういえばそんな仕組みがあったっけ」と、自分も海外在住の日本人として、その恩恵を受ける条件を備えていることに気づいたのだ。

早速パスポートを手に出向き、店員さんにお伺いしたところ、確かに免税で眼鏡を作ってもらえるとのこと。去年カナダで作ったばかりの眼鏡に違和感を覚えていた私は、ここぞとばかりに2本作ってもらうことにして、かけ心地もよく、見え方も目が疲れない程度でちょうどいい、そんな最高の眼鏡をたったの30分程度で、それも本来の税込価格より2000円も安く手に入れたのだった。

実はユニクロでも免税ショッピングができる

私が帰国した際に買い物をしに出かけたい場所として、ユニクロがあるのは先にも書いたとおり。なぜユニクロなのかと言えば、欲しいものが一度に手に入る便利さがあるからだ。私がユニクロで欲しいもの、それは安価で丈夫な下着類と靴下、そして購入したその場で、無料なのにスピーディーに裾上げをしてもらえるジーンズ。

しかしいかにユニクロと言えど、一時帰国した際に「さあ、この時を待ってました」とばかりに大量に購入しようものなら、当然その合計金額もバカにならなくなって来る。今回の帰国でジーンズを4本、下着に靴下を手当たり次第カゴに入れまくった挙句、支払った額は25000円に達した。残念なのは、ここでも免税ショッピングが可能であるのを知っていたなら、2500円も安く購入できたはずだったという事実に後になって気がついたことだ(免税対応不可の店舗がある点には要注意)。

なんせそこは地方都市のユニクロ。東京や京都、大阪のような海外からの観光客が殺到する場所ではない。おまけに私は日本語がペラペラの日本人である。店員さんだってそんな客がまさか免税ショッピングをするなどとは想像だにしないだろう。

免税ショッピングの前提条件は?

前述の私がユニクロで犯したようなミスを避ける為には、どのお店が免税対応可能であるのかを事前に知っておいた上で、購入時にも忘れずに免税対応をお願いすることが必要になる。そうでなければ、この時ばかりは日本語を上手に話せてしまうことがデメリットになりかねない。

また、一時帰国時の免税ショッピングを可能にするには、①同店舗に於ける1日の購買額が5000円以上で、②海外に2年以上滞在していて(或いは2年以上の滞在を予定している)、一時帰国中にあり、且つ日本での滞在期間は6ヶ月未満という条件があり、2つ目の条件を満たしていることの証明に日本入国時のスタンプが押されたパスポートを持参することが求められる。

ここで注意が必要なのは、羽田、成田、関西、中部といった主要空港では自動化ゲートが運用されている為に、これらを利用可能な日本のパスポート所有者の出入国時には原則としてスタンプが押されないことで、ゲートを通過してすぐの所に待機している係員の人にスタンプを押してもらわないといけない。

完全電子化された免税手続により購入者にはより便利に

以上の条件さえ満たしていれば、免税手続そのものは店舗で完結してもらえるから自分ですることは何も無く、出国時に提出しなければいけないような書類も一切無い。

ちなみに、免税扱いで購入したものは全て海外へと持ち出すことを前提としており、「消耗品」に分類される食品、化粧品、医薬品等については、販売店で指定された方法による梱包がなされ、出国前に開封してはいけないことになっている。

対して「一般物品」に属する衣類、カバンや靴、時計や家電製品等は通常と変わらず、例えば、既にショッピングバッグが有料化されているユニクロで、免税扱いで購入した服をそのまま持参したエコバッグに入れて持ち帰ったところで何ら問題は無い。今回購入した眼鏡にしても、私は買ったその場からもう使い始めていた。

空港の免税店は営業時間短縮中

町中での免税ショッピングを初めて体験して喜んでいたのも束の間、出国時に空港の免税店でも最後の買い物をしようと思っていた私を襲った現実は厳しかった。午後7時の時点で営業している免税店は1軒も無かったのだ。結果、買いたかったアイコスのスティックをここでは買えずに、仕方無く経由地のイスタンブールで普通のタバコを買う羽目になってしまった。

6月からは外国人に対する入国制限もいくらか緩和されると言うから、その頃には本来の営業時間に戻すのかも知れない。現時点で羽田には人の流れがかなり戻って来ている様子だったし、近い将来にはまた空港の免税店が出国前の人で賑わうようになるだろうか。

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