羽田空港で受けるアメリカ渡航前の格安コロナ検査

コロナ禍での規制緩和が日本を含む世界各国で進む中、空路でのアメリカ渡航には、今なお陰性証明の提出が義務付けられている(2022年5月現在)。

アメリカへの渡航にも求められる検査

日本への帰国にも必要だった陰性証明(『カナダから一時帰国前のPCR検査はアメリカで格安に済ませた』参照)だが、日本での滞在を終えてカナダに戻るにあたり、アメリカを経由するルートを組んでいた私は、また渡航前に検査を受けなくてはならなかった。

ところが、一口に「検査」と言っても、日本とアメリカで定めた基準は異なり、前者は出発前72時間以内に実施した検査で得られた陰性証明が必要になるのに対し、後者はアメリカへのフライトが出発する1日以内に検査を受けていることが求められる。

「フライトが出発する1日以内」という表現が少し分かりづらいのだが、必ずしも24時間以内である必要は無い。出発当日、或いは前日であればよく、例えば6月1日にアメリカへと出発する飛行機に乗る場合なら、前日の5月31日、或いは出発当日の6月1日に検査を受け、陰性証明を取得すればいい。つまり、6月1日の午後11時発のフライトを利用すると仮定した際、5月31日の午前中に検査を受けてしまっても問題は無い訳だ。

そしてもう一点、日本への帰国時には有効とされない抗原定性検査が、アメリカでは認められているのも大きな違いだ。

最安値で検査を受けられると評判の木下グループ検査センター

各国で規制緩和が進む中、アメリカへも観光、商用を問わず、旅行する人が増え始め、逆に一時帰国での滞在を終えてまたアメリカに帰って行く人も少なからず居るようだ。原則としてその誰もが求められる渡航前検査だから、最近ではその検査をどこで、どのようにして受ければいいのかについて、情報が見つかりやすくなって来た。

中でも多くの人が利用しているようなのが、全国各地にある木下グループのPCR検査センター。ではなぜ木下グループの検査センターが渡航者の間で評判なのかと言えば、その店舗の多さであったり、検査結果が出るまでの時間が短いといった点も挙げられるのだが、やはり最大の原因は費用の安さにあるだろう。

アメリカへの渡航時に有効な抗原定性検査は元々PCR検査と比べて安価であるとは言え、それでも1900円ポッキリと、他の病院で検査を受けるのがバカらしくすら思えてしまう程だ。その上、陰性証明を発行するのに別途費用が発生するような病院もある中、木下グループの検査センターなら検査費用に全て含まれているのは有難い。

木下グループ検査センターで発行される陰性証明に関する注意点

諸外国への渡航を理由に木下グループ検査センターで検査を受けた人のレビューはネット上にも多く上げられているのだが、実は発行される陰性証明の記載事項に不足があったり、陰性証明そのもののフォーマットにも何度か変更があったりと(「改悪」という言葉を用いてその変更を表現している人も居たようだ)、中にはフォーマットに表記の内容が渡航先の国の要求を満たさないと判断され、飛行機への搭乗を距離されたようなケースも発生している。

特にアメリカへの渡航については、これまで木下グループ検査センターで発行されていた陰性証明のフォーマットでは、①パスポート番号、②生年月日、③検体採取時刻の記載が無く、そのままではアメリカ側の要求を満たしていないとネット上で噂されていた。ところが、ダウンロードした陰性証明(PDF)の余白部分に自分でそれらの内容を追記した上で、チェックイン時にスマートフォンで提示することで問題無かったという体験談が多くシェアされており、今回私自身もその情報に倣い陰性証明に手を加えたところ、どうやら有効なものとして認めてもらえたようだった。

追記)その後、5月28日から「パスポート番号入り検査結果通知書」なる、海外渡航用として使える陰性証明の発行が可能となった。検査費用にプラス1000円で、通常のフォーマットにパスポート番号、生年月日、国籍、検体採取時刻の記載が加わり、全ての項目で日英文併記がなされた陰性証明を発行してもらえる。

しかし注意が必要なのは、「パスポート番号入り」の陰性証明を希望する場合、各都道府県により実施される無料検査の対象外となる点。例えば羽田空港にある検査センターでは、東京都民であれば本来無料で検査を受けられるところ、「パスポート番号入り」で予約を入れると検査費用+陰性証明発行費用となり、抗原定性検査を受けた場合でも計2900円が発生する。それならば通常のフォーマットで陰性証明を発行してもらい、私がしたように自分で不足事項を書き足してしまった方がいいような気がしないでもない。

予約から検査当日の流れ

ー 予約はいつ入れる?

少なくともアメリカへの渡航のケースでは、渡航の前日か当日の検査で取得した陰性証明であることが求められるのだから、実際のところそれだけピンポイントに予約を入れられるのかどうかが心配になるところ。

木下グループ検査センターの場合、当日から5日先までの6日間の範囲で予約が入れられるようになっていて(今日が月曜日であるとすると同週土曜日まで)、私が検査を受けた羽田空港第1ターミナルにあるセンターについては、いつ見ても「残りわずか」と表示されていることがほとんどではあったものの、それは5日前に見ても、前日にも見ても同じだった。ただ、検査を受けたい時間帯を選択する上で、あまり融通をきかせられないのであれば、やはりある程度前もって予約を入れるのがベターだろう。

ー 羽田空港には2ヶ所ある木下グループ検査センター どちらを選ぶ?

羽田空港の場合、木下グループの検査センターは第1ターミナル(4階)と第2ターミナル(地下1階)に1ヶ所ずつあり、残念ながら国際線が出発する第3ターミナルには無い。つまりいずれの店舗を利用するにしても、検査後に第3ターミナルへと移動する時間を計算に入れておかなければならない(検査センター店舗一覧)。

私自身は第1ターミナルで検査を受けることにしたのだが、その理由は営業時間が午後8時までと、第2ターミナルの午後6時までに比べて長く、午後10時のフライトで出発する私にとってより都合がよかった為だ。特に事情が無ければどちらのセンターを選んでも構わないだろう。

ー 予約完了後に誓約書・同意書を登録する

予約の入れ方については特筆すべき内容は無いのだが、予約完了後に届くメールにあるリンクから誓約書と同意書のフォームを埋める作業は忘れずに進めておきたい。予約が取れて安心してしまい、メールを終わりまで読んでおかないと、そんなリンクがあることにすら気がつかない。私は全く気がついていなかったし、同じ時間帯に検査に訪れた他の人もそうだったようだ。

ー 費用の支払は検査当日 現金は不可

費用は当日検査を受ける前に、クレジットカード、電子マネー・QRコード決済、交通系ICカードのいずれかで支払うことになり、現金は不可となっている。日本ではたまに海外発行のクレジットカードを使用できない場面に遭遇することがあるが、私のカナダで発行されたカードはここでは問題無く使うことができた。

ー 検体の採取は自分で

費用の支払を済ませると同時に、予約済みの検査手法に応じて検査キットが渡される。その後は指定されたブース(検査手法によって区分けされている)へと移動し、ブースに貼ってある案内の順序に従って検体を採取。アメリカ在住の人で、Walgreensなどのドラッグストアで検査を受けた経験があれば、1分もかからずに、至ってスムーズに完了できるだろう。

ー 結果判明は検体提出から約15分後

採取した検体を所定の場所に提出したら、15分から20分程度で判明する結果を待つこととなる。その場で待ってもいいし、時間を見計って戻って来ても大丈夫だ。

なお、この場でも陰性の2文字が記された書面の結果証明を渡されるが、アメリカへの渡航に必要となるより詳細な陰性証明はネット上の「マイページ」からダウンロードできる。「マイページ」に結果が反映されるまでには結果判明から更に10分程度待つ必要がある。

第三国を経由してアメリカへと向かう場合

アメリカと渡航するのに、木下グループ検査センターで抗原定性検査を受け、前述の「パスポート番号入り検査結果通知書」ではない通常のフォーマットによる陰性証明をしてもらい、記載内容の不足部分を自分で書き込むことで搭乗手続時の審査をパスするという方法について、その体験談をシェアしている人の大半は日本からアメリカへの直行便を利用している。

そもそも陰性証明はアメリカの入国審査で提示を求められるものではなく、アメリカへと出発する前、航空会社のチェックインカウンターで確認されるものであり、日本から直行便をする場合、一旦日本の空港で確認が済んでしまえばもうお役御免だ。

では第三国を経由してアメリカに行く場合ではどうか?

今回私が利用したのはターキッシュエアラインズ(トルコ航空)。羽田からイスタンブールに飛び、そこでシカゴへ向かう便に乗り継いだ。そんな地球を逆回りしてアメリカに行こうなどという人は珍しいから、私に搭乗手続をしてくれた係員の方も面食らったかも知れない。また、普段からアメリカ行きの搭乗客に頻繁に対応している航空会社とは違って、滅多に遭遇しない状況でより慎重に対応することを迫られるが故に、書類の確認にも必要以上に時間を要することもあるだろう。

実際カナダで取得済みのワクチン接種証明も、この日入手したばかりで自ら手を加えた陰性証明も、かなり入念にチェックされ、私もその様子を見ながら「果たして搭乗を拒否されたりしないだろうか」と結構不安にさせられた。

white and red airplane in the sky

幸い羽田はパスしたのだが、その後経由地であるイスタンブールでも改めてチェックを受けることになった私。乗り継ぎであるからチェックインカウンターに行くことは無くても、搭乗口へと繋がる待合室の入口に係員がスタンバイしていて、それも2人の係員による二重チェックが入った。

2度のチェックで私が聞かれたことは全く同じで、提示を求められた証明書も同じ。私の陰性証明は加工を施したものである為に、どこか後ろめたさのようなものを心の中に感じながら、ここまで来て搭乗拒否に遭ったらたまらないと、表向きには冷静に見えるよう努めた。

陰性証明など前世界で統一のフォーマットがある訳でもなく、こういう場合、どの係員が対応するのかで結果が大きく変わるようなこともあり得る。元々統一性が無いせいで、人の判断が時に理不尽な程に影響力を持ってしまうのをいい加減だと恨んだところで仕方が無い。この点を踏まえるならば、やはり直行便を利用するのが最善であり、どうしても第三国で経由するルートを選ぶのなら、予期せぬ事態に遭遇した時の対応力が試される可能性があることを頭に入れておいた方がいい。

最終的には無事に飛行機に乗ることができ、日本からは2本のフライトで計24時間にも及ぶ移動を経てシカゴに到着した。木下グループ様様である。

オススメのダシガラより